063 【世界の整合性《world announce》】。

 何故、と問われても、分からない、としか答えられないこの感情の高まりは、俺の理性の制御コントロールから外れていて、悲しいのか、寂しいのか、切ないのか、はたまた嬉しいのか。

 流れ落ちる涙の温かさが、余計に心に沁みていく。

 女神ディアーナ。

 〈ディー〉。

 貴女は何故、

 何故、俺は。


 女神ディー、なんで泣いているんだよ。




ーーー《error》が発生しました。

ーーー《error》が発生しました。

ーーー《error》が.......

ーーー......




 

『......それは...、それは私の責任なの』


『ディーの責任?』


『そう。私ね、実はの女神じゃないの。私は違う世界、総ちゃんからすればの女神かな。

 私のいた世界にもダンジョンがあって、ある日その内の一つが氾濫...魔物が地上に溢れ出す大災害が起きたわ。沢山の人間が戦いに向かい、沢山な犠牲者を出しながらも何とか魔物達をダンジョン内部まで追い返す事に成功した。

 だけど、それは何の解決にもならないと分かっていた人間達は神に祈ったわ。《ダンジョンを鎮めて下さい》って。

 祈りは私まで届き、私はダンジョンの深部まで向かったまでは良かったんだけど、そこで問題が起きたの。


 異世界あっちの人間達が、神具を使ってダンジョンを私ごと封印してしまったの。


 そうなると、ダンジョン内のエネルギーが飽和してしまい、ダンジョンは新たな出口を探してしまうの。私は神具の封印によって世界との繋がりを失ってしまったから神力が下がってしまってダンジョンを止める事が出来なくなってた。そして、ダンジョンは出口を見つけて繋げてしまったの。もう分かると思うけど、それがこの世界の日本にある【並行世界パラレルワールド】ダンジョンの成り立ち。

 ダンジョンは溜まっていたエネルギーを大災害として吐き出そうとしたけど、当時の地球こっちの上位探索者の猛者達によってダンジョン内で防衛に成功。だけど長く持ちそうにないことに気付いた人間達は人工知能マザーから知恵を借りた。

そして総ちゃんの両親がダンジョン内部から扉に特殊な封印をして大災害を鎮圧に導いた。2人は未だそこで封印し続けているわ。これが30年前の真相よ。

 私にもっと力が有ればシンヤやユウコもダンジョンに取り残されることは無かった。だから私の責任なのよ...ごめんな『ふざけるな』...』


『ふざけるなよ、おかしいだろ?自分達の世界で手に負えないことが起きたから神頼みしたクセにその神様ごと神具で封印した?おそらく異世界の神ってディーだけじゃないんだろ?態々神様の作った道具まで使って、ディーがダンジョンの中に居る時を。裏で手を引いてるクズが絶対いるだろソレ?

 大体さ、異世界人そいつらも屑ばかりじゃねぇか。それまで沢山の恩恵をダンジョンから受けたくせに、困ったら神頼み人任せした上に裏切るようなカタチで切り捨てるとか、例え裏で手を引いてるクズがいたとはいえ、やっちゃ駄目だろそんなコト。畜生にも劣る奴等じゃねぇか。


だから、だろ。


 女神だからといってを犠牲にしてのうのうと生きている、そんな異世界理不尽なんかあって堪るか。そんな理不尽モン俺は


 だからさ、ディーはもっと怒ればいいんだよ、


 バカヤロー、って。


 ふざけるな、って。


 何でだよ、って。


 悔しいよ、って。


 悲しいよ、って。


 寂しいよ、って。


 俺がちゃんと聞いてあげるからさ。だから、


 ーーー《助けて》って言ってよ。


 俺がからさ。」


『!!?...そ、総ちゃぁん...うぇ〜〜ん!わだじざみじがっだ、ぐやじがっだぁ〜!何でわだじがごんなめにあゔの?なんで裏切っだの!巫山戯んな!異世界の奴等のバカヤロー!!』


『グスッ....総ちゃん... もう、光も届かない暗いダンジョンの奥底で、ずっとひとりぼっちはイヤ....だから、ダンジョンから、私を...〈ディー〉を


『うん、


『ディーも、父ちゃんも母ちゃんも。みんなまとめて俺が助け出す。だから、安心して待ってなよ。必ず【並行世界そこ】から連れ出してやるよ』




ーーー.......

ーーー............

ーーー................コレヨリ【世界の整合性world announce】ガ発令サレマス...




ーーードクンッ...

ーーードクンッ...

ーーードクンッ...

ーーードクンッ...



ーーー【世界の整合性world announce】ガ一部トレマセンデシタ

ーーー再試行シマス...再試行中...再...

ーーー上位権限ニヨリ強制可決サレマシタ

ーーー安定化ニ移行シマス...






 俺はーーー


 俺は、折谷東條 総司だ。

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