062 あゝ、今日は煙草を吸ってないのに、何かが目が沁みる。〜女神の願い〜
「確かに...ダンジョンの魔物なんてそんなものだとしか思っていなかったな。でも、ゴブリ王達の世界にはダンジョンは無かったのか?そこなら似たような感じなんじゃないのか?」
《勿論、〈ユルク〉にもダンジョンと言われるものはあったの。じゃが、ダンジョンに現れる魔物とてちゃんと個性があるし、倒したら死体が消えてアイテムをドロップするなんて事は有り得ん。
奴等、ダンジョンの魔物達は邪神と呼ばれる神に創り出された理性の無い眷属であって、此処のように姿形、魂結晶と呼ばれる魔石までもが全て一緒などあり得ないのじゃよ》
邪神が創り出した眷属...。
地球のダンジョンの魔物を創り出しているのはダンジョンそのもの。
〈ダンジョンの意志〉は新たな魔物を創り出せる訳では無くて、常時何処かにある
やはり、ダンジョンはシステムを構築してダンジョンを運営している?
じゃあーーー
「ダンジョンの
《そーじは賢いのじゃな。じゃが、その答えを今の儂は持ち合わせおらん...すまんの。
話を戻すのじゃが、儂等はこの奇妙な世界に連れてこられた理由と帰る方法を、必死になって探した。
じゃが、30年経った今でもその答えは出ておらん。
ただな、一つだけ思い当たる、この状況を打開できる可能性を持つ者を知っておった。
それは、儂等がこの世界に転移したあの日。
儂は、儂等妖精族の信仰する主神様の御告げを受けたのじゃ。
《逃げなさい、そして、探し頼りなさい。
世界を、全ての運命を変える事が出来る人族に。
困った時に、必ず手を差しのべてくれる、優しいあの人に、
ソウジに。
彼ならきっと』
そこで御告げは途切れ、主神様の神気がユルクから消えたのじゃ。
その直後に、儂等は光に襲われたのじゃ》
「ソウジ...総司、俺!?」
[総司が...どうして?30年前なんて、総司はまだ産まれていたかどうか分からないのに!]
そう、そうだ。30年前は俺が産まれた頃だ。そんな時に〈ソウジ〉とか、優しいとか、俺以外のソウジの事じゃないのか?
《そうじゃな。今目の前に居るそーじが、主神様の御告げにあった〈ソウジ〉かは、儂にも分からん。
でも、儂等も必死に探したのじゃ。
困った時に手を差しのべてくれる、〈杖〉を奪われた老人の為、孫娘のお願いを聞いて届けてくれる者を。
運命を変える、〈ゴブポーション〉を飲んでこの世界ではなく、ユルクの妖精族語を話せるようになる者を。
優しい、他種族の、ゴブリンの為に約束を守って、危害を与える事なくポーションを届けてくれる者を。
見極める為とはいえ、クエストを2つ用意して試した真似をしたのは謝るのじゃ。
...そーじが〈ソウジ〉かは分からん。
じゃが、儂はそーじが儂等を救ってくれるんじゃないかと、そう思っておるよ》
やはり、
《そうそう、クエストは、孫のブリンのskillじゃよ。ブリンは
「そうか...いや、そこじゃない、そのskillも気になるけど、そこじゃない!」
《なんじゃ、慌てて》
「今、2つって言ったよな?用意したクエストは2つだけだって」
《はい。私が用意しましたから、間違いなく2つですよ》
じゃあ、
「俺は今、3つ目、〈最終クエスト〉を受けている」
《えッ!?》
《な、なんじゃと!?》
「本当だよ、ゴブリ王、ブリン。俺は、2つ目のクエストをクリアした後、〈最終クエスト〉が発生した。
クエスト名は【どうか、私の眷属達を救済して下さい...】だ。このクエストを受けさせてもらう為に少しだけ話をした相手がいたんだけど...」
《ウソ...そんな、まさか...》
《おぉ、まさか、そんな奇跡が...やはり、やはりそーじが儂等の探し求めた〈ソウジ〉じゃ!》
やっぱり、あの声は...。
《その〈最終クエスト〉を出されたのは、儂等妖精族の主神様、女神ディアーナ様なのじゃ!》
《ディアーナ様が直接
《やっぱり、〈ディー〉だったのか...》
[総司!?あなた女神様の事知ってるの!?
それにどうしたのよ、ソレ!?]
《...そーじ...》
「えッ!?いや、アレ?何でだろ、どうしたんだよ、俺!?なんで、」
なんで、次から次へと涙が溢れて、止まらないんだよ...。
教えてくれよ、〈ディー〉。
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