あゝ、今日も煙草の煙が目に沁みる。

060 〈最終クエスト〉。〜それでいいんだよ〜

　ゴブゴブ村へと急ぐ。

　そんな中、やはり例のアナウンスが頭の中に流れた。

ーーーチェーンクエスト【ポーションを手に入れよう！】clear！

ーーーチェーンクエスト【〈小鬼王国（ゴブリンキングダム）〉から逃げろ！】が発生しました。

　受注しますか？　→Yes/No

「Noだ、馬鹿野郎」

　何で今更逃げる必要があるんだよ！俺は見て見ぬふりなんか出来るほど薄情な人間じゃねえ！

ーーーチェーンクエスト【〈小鬼王国（ゴブリンキングダム）〉から逃げろ！】を拒否しました。

ーーーチェーンクエスト【〈小鬼王国（ゴブリンキングダム）〉を滅ぼせ！】が発生しました。

　受注しますか？　→Yes/No

「Noだ、クソッタレ」

　巫山戯るなよ、脚本家（シナリオライター）ッ！アイツらに何の罪があるんだよ！誰にも迷惑をかけずに生きてるだろ！俺を、折谷 総司を馬鹿にするなッ！！

ーーーチェーンクエスト【〈小鬼王国（ゴブリンキングダム）〉を滅ぼせ！】を拒否しました。

ーーー特殊条件のclearを確認しました。最終クエストのロックを解除します。

ーーー最終クエスト【どうか、私の眷属達を救済して下さい...】が発生しました。

　受注しますか？　→No

「え！？最終クエスト？眷属達を救済？お願い？しかも選択肢が一つだけだと？」

［総司、さっきの〈逃げろ〉とか〈滅ぼせ〉は試されてたんじゃない？総司が拒否したから、最終クエストが解除されたんだと思う］

　このまま無かった事にしたり、ゴブリン種に対して敵対心を持っているか試された？

　じゃあ、〈私の眷属達〉って事は、脚本家（シナリオライター）は王様、ゴブリンキングって事か？

　じゃあなんで〈No〉しか無いんだよ？

　お前達だって、被害者だろ？

　受注しますか？　→No

「Yesだ」

　長い時間、30年も耐えてきたんだろ？

　受注しますか？　→No

「Yesだって言ってるだろ」

　辛い事だって、いっぱいあったんだろ？

　受注しますか？　→No

「Yesを、表示しろよッ！」

　望郷の念に駆られて、涙する日もあったんだろ？

　受注しますか？　→No

「Yesだと、俺が決めたんだッ！！

　俺が、救うと決めたんだよッ！！」

　受注しますか？　→No/

「頼れよ！いいじゃねーかよ、他所の世界の、他種族だからって、そんなの関係ないだろッ！

　困った時には、『助けて下さい』でいいんだよ！我慢ばっかりすんなよ！」

　受注しますか？　→No/Ye

「脚本家（アンタ）だって、苦しいんだろ？眷属達の気持ちも痛い程分かってるんだろ？自分ではどうしようも無くて、足掻いて、足掻いて、クエストまで用意して。

　辛いよな。

　無力な自分を恨むよな。

　分かる、俺にも分かるよ、その気持ち。

　だからさ。

　俺じゃ頼りないかもしれないけど、精一杯、全力で頑張るって、約束する。

　だから俺に、脚本家（アンタ）と眷属達を救うチャンスをくれないか？

　俺が、手を差し出したいんだ、頼む！」

　俺は、立ち止まって、誰も居ない森に向かって頭を下げる。

［総司...私からも！佐倉 愛菜、アナからも、お願いします！！総司に、私の大切な弟に、チャンスを下さいッ！］

《つきからもおねがいしまーす！！》

　ありがとう、愛菜姉ちゃん、月。

　頼っても、良いのですか？　→No/Yes

「Yes（頼っていいよ）」

　本当に、願っても良いのですか？　→No/Yes

「Yes（願っていいよ）」

　お願いします、私達を救って下さい！！　→No/Yes

「Yes（それでいいんだよ）」

ーーー最終クエスト【どうか、私の眷属達を救済して下さい...】を受注しました。

ーーー私達を助けて下さい...どうか、よろしくお願いします。

「任せろ。みんなまとめて救うと、約束する」

　絶対に、だ。