059 〈始まり〉のゴブゴブ村へ。〜余が説明してやろう〜
「異世界...来ちゃった?」
[ウソ、本当に?]
《そーじどーしたのー?》
《何かあったん?》
薬師ホブさんもゴブリ爺さんもブリンも。
異世界の妖精族で、〈
「ヤバい、地球...日本に帰れるのかな?どうすればいいんだ?」
《あ!なるほどじゃんね。え〜っと、そーじだっけ?そーじは勘違いしてるじゃんね》
《じゃんじゃんじゃんねー》
「え?勘違いって、どういうこと?」
ホブさんがさらりと、俺の不安を払拭してくれると同時に新たな爆弾を投下する。
《異世界に
「えぇ!?マジで?」
《マジもマジ。困ってしまってゴブゴブ泣いて早30年じゃん》
それ、迷子というか行方不明扱いじゃね?
じゃあ、今までなんで探索者達に見つからなかったんだろ?
「なんで今まで探索者は誰も気が付かなかったんだ?おかしいだろ」
[確かにそうね。私が探索者だった頃でもこんな話、噂でも聞いた事無かったよ]
《タンサクシャ?あぁ、そーじみたいにダンジョンアタックする〈冒険者〉達のこと?
それなら大丈夫じゃん。
この〈
...俺、その結界とやらに気付かないままここまで来ましたけど?
何で俺だけ?
《そーじの考えてる事分かるじゃんね。ヒト族なのに、結界内に居る。なんでだろうってトコじゃん?》
「あ、ああその通りだよ。不思議だけど理由があるのか?」
もしかして、クエスト?アレを用意した
《...あるじゃんね。俺達の、我ら妖精族ゴブリン種の、の、の、ののののの》
「おいッ!!?大丈夫か、ホブさんっ!!」
[何!?どうしたの!!]
《ほぶさんくるしそー》
突然、薬師ホブさんが壊れたオーディオのようにおかしくなった。俺はさっきもらったばかりのポーションを飲ませようとして、
《そこから先は、余が説明してやろう。ニンゲンよ、ゴブゴブ村、我々ゴブリン種の希望の地〈始まり〉のゴブゴブ村まで戻ってくるのだ》
はっきりとした威厳のある言葉が頭の中に突然響いて、手が止まってしまう。
その言葉を聞いた直後、薬師ホブさんは元に戻り、俺に話し掛けてきた。
《そーじ、ごめんじゃん。俺の口からは何も言えないみたいじゃん...あとの事はあの御方にお任せするじゃん。
悪いけど、ゴブゴブ村に行って欲しいじゃんね》
「あ、いや、それは良いんだけど、ホブさんは体調大丈夫なのか?」
《大丈夫じゃん。それよりもゴブゴブ村に急ぐじゃんね。ゴブリお...爺さんとブリン...ちゃんが待ってるじゃん》
「お、おう分かった。取り敢えず急いでゴブゴブ村に戻るよ。ゴブリ爺さんの体調も気になるしな」
《ぽーしょんおとどけだぜー》
[...ゴブリお?]
愛菜姉ちゃんは何か考えているみたいだが、確かにゴブリ爺さんにポーションを届けるのが先決だ。
謎の声の〈御方〉も気になるけど、急ごう!
「ホブさん、ポーションありがとなッ!また来れると分かったら、その時はお土産に大福を沢山持って遊びにくるよ!」
《おお!!それは嬉しいじゃんね!期待していつまでも待ってるじゃん!》
「了解!遅くならないように頑張るよ!じゃあなッ!」
そう言って少し駆け足で元来た道を帰る。
途中で振り返ると、ホブさん達が手を振ってくれていたので、俺も精一杯手を振って返した。
絶対、また来るからな!待っててくれよ!
そんな気持ちを込めて、精一杯。
《いつまでも...待ってるじゃんね。
そーじが俺達を救ってくれるのを、さ》
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