058 まさかの〈ゴブポーション〉。
「ホブホブホブッ!?ホッブ〜♪」
《めっちゃおいしいじゃん!?しふく〜、だって...いいなぁ、つきもたべたいなー》
「月は後でね。それにしても、ゴーブの実が好きなゴブリン族でも大福は大好評か...」
[さすが香澄先輩!先輩の大福は種族の壁なんて関係無いわ!]
確かに。
オバチャンの知らない所で〈小柳和菓子店〉の大福ブームが起きそう...さっき渡した大福3つ、薬師ホブさんが内緒で食べてくれんかな?
下手に噂になったりしたら大変な事になりそう。
〈
ていうか薬師ホブさん、そろそろポーション下さいな。
「ホブ〜...ホブホブホブ!」
《うまかった〜、まんぞくじゃんね!って》
「喜んでもらえて嬉しいよ。月、ポーション貰えるか聞いてくれる?」
《...》
「ホブ!ホブホブ...ホブホブホブ、ホブホブ!」
《いいよだってー。あと、これもあげるからのめだって》
薬師ホブさんはおそらく笑顔だと思われる、例えるなら〈ニタァ〜〉っとした顔で、薄いピンク色の液体が入った瓶と、これまた恐ろしい色合いの、真紫色をした液体の入った瓶を差し出してきた。真紫色がポーションであって欲しいと心からお願いしている俺がいる。
「ホブホブホブ」
《ぴんくがぽーしょんだよって》
やっぱりかぁ...。
欲しく無いけど折角のご厚意を無駄にしたら嫌だしな。後で口直しの飲み物沢山用意してから飲んでみるかな...。
「ホブホブホブホブッ!」
《さぁぐいっとのんじゃって!だって。がんばれそーじ》
え!?今飲むの?...コレ、本当に飲める物なのか...?
[総司、男の子でしょ!]
「それ男女差別だよ...」
[つべこべ言わない、役割分担よ!]
本能が《受け取ったらダメだ!》と警鐘を鳴らしているが、恐る恐る2本とも受け取り、最終確認として鑑定する。
【ポーション(ホブゴブリン製)】・・・ホブゴブリンが作成したゴブリン族にしか効かない魔法薬。一定の外傷を治癒する効果がある。欠損・呪い等には効果が無い。トレード不可。
やったね♪クエストクリアだよ!
それにしてもゴブリン製なのに、美味しそうな色よね。高級ロゼワインみたい♪
俺も思った。出来る事ならコッチを飲みたかった...俺には効かないし、ゴブ爺さんのだけど。
【ゴブポーション(ホブゴブリン製)】・・・ホブゴブリンが作成した他種族にも効果がある魔法薬。飲むと、ゴブリン族の言語を理解し、喋る事が出来るようになる。トレード不可。
やったね♪これでアンタもゴブリン族とコミュニケーションがとれるよ!
仲良くなってマブダチになろうぜっ!
早く飲んでみてよ!ねぇ、どんな味かな〜?なんかこの世の物とは思えない色だから、どんな味なのかワクワク♪
ちゃんとお口の中でテイスティングしてね♪
素敵な感想、夜・露・死・苦♡
「ウゼェよ
後、テイスティングなんか絶対しないからな、イッキだイッキ!味わう事はしないし感想も言わん!」
[さすが総司、一気飲みなんて男前!]
《そーじの♪ちょっといいとこ♫みてみたい〜♪》
「誰だよッ!月に変なこと教えたヤツ!!」
「ホッブ!ホッブ!ホッブ!」
「オマエも知ってんのかよ!?ていうかオマエだな、月に教えたのはッ!?」
クソッ!完全にイッキ大会の雰囲気になったじゃねーか!
...えーい、ままよッ!
俺は
ーーーゴクッ、ゴクッ、ゴクッ、ゴクッ...
「ぷっふぁぁ!...あ?あれ?...ゴブポーションめっちゃ美味いんですけど!?」
そう、まるで高級な葡萄を丁寧に絞って作り上げたような、濃厚なのに爽やかで、口の中にフルーティーな香りが広がり...兎に角、超美味い。見た目は超不味そうだけど。
『美味かったじゃん?』
「ああ、かなり美味かった。お代わりしたいくらいだよ...えッ!?」
[あ!ホブさんの言葉が私にも理解できるよ!アドバイザーの恩恵かな?]
[ピコン。特殊条件の達成を確認。skill【言語習得(妖精族)】を獲得しました]
「おお?妖精族?ゴブリン族の言葉じゃねーの?取り敢えず鑑定〜」
skill【言語習得(妖精族)】・・・異世界ユルクに住む妖精族が使用する言語を聞き、話す事ができるようになるskill。妖精族にはピクシー種、ゴブリン種、エルフ種、ドワーフ種など数多くの種族が確認されており、総じて妖精族と呼ばれている。
...アンタさぁ...。
「...〈
俺、いつトラックに轢かれたっけ?
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