049 始まりの〈杖〉。
あぁクソッ!!先ずは鑑定だ!
【ゴブリン】・・・小鬼と呼ばれるヒト型の魔物。身長は100〜120cm前後で緑色の肌でその顔は醜悪そのもので、大きな鉤鼻に尖った耳が特徴。全体的な能力は低く、脅威度は低い。
但し、上位種に進化し易く、その進化先も多い。
あら?ただのゴブリンのくせに
「って、ただのゴブリンかよ!?」
ーーーGyagyagya!!
...なんか、怖くないな。
ていうか、醜悪な面さえ見なければただの子どもがヤンチャしてるだけ?
いやさ、魔物なのは理解出来るから普通に討伐出来るけど。
でも、なんで杖なんか持ってんのさ、お前。
ーーーブンッ!
「いや、お前。その杖初めて使ったろ?」
頑張って振ってきたけど全く届いていないのよ。取り敢えず、サヨナラ、だ!
ーーーザシュ!ドシュッ!
ーーーGyaッ!?
「クリーンヒットぉ!...お?え、一撃なの?」
ククリナイフで斬り裂かれた上半身が地面に落ちると、軈て粒子となり消えた。
収納+αには、【ゴブリンカード】と魔石(極小)が入っている。
取り敢えず、カードを確認してみよう。
【ゴブリンカード】・・・魔物の定番、ゴブリンが描かれたカード。特に効果無し。トレード可。有効期限48時間。
うん、いつも通り。
そのままトレード。
ーーーゴブリンカードをトレードしますか?
1.skill【夜目】(1/50)
2.¥100
最安値はスライムの50円で決まりか?
skill【夜目】は暗い場所でも目が見えるようになるskillだろう。
そういや夜目って、閉所恐怖症の改善に良いんじゃね?狭いのはあれだけど、暗いのがいつも通りに見えるなら怖さは減るのかな?
試したい気持ちは更々無いけど、このskillは持ってて損は無いかな。
50枚48時間だし。
「良し!進むか...ん?あれ?」
確認を終えて進もうとしたら、さっきゴブリンの死体が消えた場所に物が落ちていた。
「え?アイツの持ってた杖じゃん。ドロップ品扱いじゃないの?
でも消えて無いのは何故?」
ダンジョンに出る魔物の中には、人間のように武器や防具を装備している種類もいる。
ゴブリンマジシャンやゴブリンナイトみたいにな。
でも、魔物を倒すと基本的に〈装備も死体同様に粒子になって消える〉。これは講習で習うので常識だ。例外として稀に剣や盾などのアイテムがその場に残る事もあるらしいが、これはドロップ品扱いで、どんなにボロボロでも新品がドロップされる。
つまり、〈ドロップ品自動収納〉持ちの俺の場合は、その場にアイテムがドロップする事は無いはずだ。
「形状は...さっきのゴブリンが持っていたやつだな」
一応気をつけながら杖を拾って確認したものの、何の変哲も無いただの杖だ。見た目は漫画とかで仙人が持ってそうな上の部分がくるくると丸まって杖。
「鑑定してみるか」
【ゴブリ爺さんの杖】・・・ゴブゴブ村のゴブリ爺さんの杖。足腰が悪いゴブリ爺さんが常に使用している杖。攻撃力ほぼゼロ。命中率壊滅的。
杖無しでは生きていけないゴブリお爺ちゃんの杖を、悪いゴブリンに盗まれちゃったの!
誰か杖を取り戻して届けて下さい!お願いします! by 孫のブリン
良かったね♪ゴブゴブ村のブリンちゃんから〈クエスト〉を受注したよ!早速、〈ゴブリ爺さんの杖〉を届けてみよう!...こんな感じでいいかしら?おそらく魔物からクエストを受注した探索者...人類は後にも先にもアンタだけよ。
ちゃんと真面目に探索しなさいよ?
「...」
[総司...お姉ちゃんは、総司の味方だよ?]
《ごぶりじーちゃんまっててね〜》
「すぅ〜...はぁ〜...良しっ!!」
「俺だって真面目に探索してーよっ!!
なんでTVゲーム風なんだよ
あと、クエスト報酬くらい用意しとけ!!
それと、悪いゴブリン!もっとマシな武器を盗めよっ!!
最後に、ゴブゴブ村って何処にあるんだよバカヤローーーーっ!!」
ハァ、ハァ、ハァ...。
《あ!そーじごぶごぶむらあっちだって〜》
[うわぁ...ベタな道標がある...]
「要らんとこだけ親切設計なんだよ
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