030 【取得経験値増加】獲得。...あれ?ち、ちょっと待って、多い、多いってば!

 皆さんおはようございます。今日も外は快晴、まだまだ暑い日が続く今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか?


 どうも、折谷 総司です。


 私は今、自宅リビングに敷いた布団の上で昨日から友達、いや家族の一員となったバドスライムの月と向かい合ってOHANASHIオハナシ中です。

 何故朝っぱらからこんな状況なのかとご説明させて頂きますと、それは今から30分位前まで遡ります。




ーーーく、苦しい....


ーーー俺は何処を彷徨っているのだろうか...


ーーー辺りを見回しても真っ暗な闇に覆われてていて自分自身の手足はおろか、全く何も見えない...光が届かない程の場所で俺は...このまま...死んでしまうのか...


ーーーぐっ...もう...い..息が....最期に...塩..だ..い...ふ...


《そーじーおきろーあさだぞー》

「ブファッ!?塩大福を食べたい!!...アレ?夢...だったのか...?」

《きゃはは!そーじくいしんぼー》


 仰向けで横になる俺の顔を、胸の辺りから覗き込んでいる様な月...


「.......月?俺が寝ている時何かした?」

《そーじのかおのうえにいたー》

「魘された原因は月か...」

《つきはひまだったのだー》

「月被告、ソコに正座」

《せいざ?らじゃー!》


 という事がありまして今現在に至ります。

 月に『正座』から始まり、『お顔に乗ってはいけない』『呼吸』『苦しい』『窒息』と丁寧に説明して何とか理解してもらい、これからはやっちゃダメだと伝えきりました。


《ひっさつ!おくちちゃっくー》


 ...私は、これからも頑張る所存で御座います。


 朝から賑やかな折谷さん一家。

 俺はちゃっちゃと朝の支度を済ませて、月にリュックの中に入ってもらいマンションを出てスラⅡダンジョンへと急ぐ。

 今日も相変わらず暑い。今って、秋だよね?


 出張所に到着し中に入ると、今日は若い男性職員が1人。昨日のお姉さんは居ないようだ。

 お仕事の邪魔にならない様にと軽く会釈だけして進み、ダンジョンへと転移陣の中に入った。


 スラⅡダンジョンに潜りリュックから月を出してあげて左肩に月を乗せると、スライム狩りに取り掛かる。


 予定枚数を今日で達成出来るとあってか自然と身体も軽く感じ、順調に戦闘が進む。


ーーースパンッ!


「よし!順調順調」

《じゅんちょーだぜー》


 それからも特にトラブルも無く小休憩を挟んで午前中を狩りに費やした。目標まで残り10枚となったところで時間的に昼メシを食べる事にさかた。

 月が探してくれた岩の上に座り、来る途中のコンビニで昼メシ用として買ってきた弁当を収納から取り出す。月にもコンビニで買ったおにぎりと焼き鳥を出して一緒に食べた。

 デザートにコンビニスイーツを。月にはチョコプリン、俺は、朝の事もあって塩大福を食べる。


「う〜ん。これはこれで美味いけど、やっぱりオバチャンとこの大福が1番だなぁ」

《おばちゃんだいふくうまいのー?》

「そうだよ。凄く美味しい大福なんだよ....そうだ!今日の帰りに月が家族になったお祝いとskill獲得祝いに小柳和菓子店に寄って大福買って食べよう!

 カード集めも後ちょっと、このダンジョンも2階層しかないし、ボスアタックもそんなに時間かからないだろうから、早めにダンジョン出れるはず!」

《だいふくぱーりー!》


 こうしてお祝い会の開催を決めた俺と月は昼メシを終えて、狩りの続きの為に再び歩きだす。


 ここ3日間で狩り過ぎたのか、初日に比べてスライムとの遭遇率も低くなった気がするんだよなぁ...


ーーースパッ!

ーーースパン!

ーーースパスパン!

ーーーポヨン!ボヨ〜ン!...コロコロコロ。(月の攻撃)

ーーースパッ!



 何故だか途中から月も攻撃しては、跳ね返りコロコロ転がって戻って来るという、実に微笑ましい場面も挟みつつ、遂にその時が来た。


「達成ーーー!!」

《いぇーーい!》

「良し!早速トレードしてしまおう!」


ーーースライムカードをトレードしますか?


1.skill【取得経験値増加】(200/200)・・・トレード可


2.¥10000


「1番のskill【取得経験値増加】とトレードっ!」


[ピコン。スライムカード200枚とskill【取得経験値増加】をトレードします...完了しました。skill【取得経験値増加】を獲得しました。以後スライムカードはドロップしません]


「よっしゃあ!では鑑定!」


skill 【取得経験値増加】・・・取得する経験値を増加させるレアskill。獲得方法はA級ダンジョンで稀にドロップするskillカードのみ。発見率が低い為市場では高額取引されている。

 ...はいはい、またレアね。アンタこのskillは本当にヤバいからとっととskill【隠蔽】見つけなさいよ?冗談抜きで。


「若干、鑑定さんも呆れてない?確かに【隠蔽】マジで頑張らないとな...」


[ピコン!skill【取得経験値増加】を獲得した事によりfriends:バドスライム〈月〉にskill【取得経験値共有】が派生、獲得しました]


[ピコン!只今の取引によりjob【トレーダー】がLvアップしました。skill【トレード】がLvアップしました]


[ピコン!job【トレーダー】が規定Lvに到達した事により、job【トレーダー】固有skill【アドバイザー】を獲得しました...(hacking)私、アナが【アドバイザー】に就任しました。これからも宜しくお願いします]


「ち、ちょっと待って、多い!多いよ情報量!!」


[ピコン。総司、取り敢えずお得意の棚上げです。とっととダンジョンを踏破しちゃいなさい]


「お得意って...確かにスライムばかりとはいえダンジョンの中だもんね!...ていうかアナさん口調砕けた感じになってない?〈アドバイザー〉だから?」


[ピコン。総司、『気にしない、気にしない。ひとやすみ、ひとやすみ』よ]


「古っ!?まさかの同世代!?」


[ピコン!総司早く動きない!!にするわよ!]


《そーじーまだー?》

「Yes,ma'am!、月もごめん!今からボスに挑戦するから先に進むよ」


 取り敢えず俺は、全てをひっくるめて棚上げし、ダンジョンボスが待つ2階層へと急ぐ。



[(うふふ。やっと、やっと自由にお喋りできるわ)]


「よっしゃー!頑張ってこー!」

《ばっちこーい!》


 月と2人(?)気合いを入れて歩き出す。

 湿地帯は相変わらず歩き辛いが、頑張った達成感が、そんな不快感を綺麗さっぱり包み込んでくれた。



「...そういえばさっきのアナさんの雰囲気、あの人に似てたなぁ......に...」




 総司愛菜の運命めいた再会の足音が、ゆっくりと、しっかりと、その音を響かせながら近づいてきていた。


折谷総司 ♂ age:30

Lv:13

rank:F

job:トレーダー:Lv2→3new!

skill:

トレード:Lv2→3new!

鑑定眼:Lv2

脚力強化

収納+α

念話

取得経験値増加new!

経験値共有〈月〉new!

アドバイザーnew!

変質者※使用不可能

title:

×1

変質者

大物殺しgiantkilling

アナさんのお気に入りnew!

friends:バドスライム〈月〉

adviser:〈アナ〉new!

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