016 VSダンジョンボス。超初心者専用《チュートリアル》ダンジョンでの激闘!❷

ーーーピコン!Lvアップしました。

ーーーピコン!Lvアップしました。

ーーーピコン!Lvアップしました。

ーーーピコン!Lvアップしました。

ーーー

ーー

ーーーピコン!skill【鑑定眼】がLvアップしました。

ーーーピコン!skill【変質者】を覚えました。error!使用不可能です。

ーーーピコン!title 大物殺しgiant killingを獲得しました。



 アナさんとは違う、無機質なLvアップの音声が薄れていた意識の覚醒させる。


「...生きて、る?俺は...」

 

 プロテクトスーツのあちこちに、ダンジョンボスによって付けられた傷...足跡がくっきりと残っており、見ただけでも先程の痛みが脳裏に蘇る。


 夢なんかじゃ、無い。


 確かにあの時、はず...それなのに、それなのに何で視線の先に、

 何故ボスが...?


[ピコン!総司、大丈夫ですか!?]


「あ、あぁ。大丈夫だよ、アナさん。生きてるよ...」


[ピコン!申し訳ありません、ダンジョンボスの部屋に入った途端に何かに妨害ジャミングされてしまって]


 どうやらアナさんはさっきのボス戦を観ていなかったみたいだ。

 アナさんを妨害する何かも気になるが...ん?じゃあ、今聴こえたLvアップを告げる音声無機質な声は誰なんだ?

 でも、初めてのLvアップの時も無機質だったはず...あれ?じゃあ、アナさんって...。


「背後霊!?マジ?悪霊たいさ、」


[ピコン。だいたい言いたいことは想像つきますが、そこはせめて守護霊だろうがッ!総司アホ


「...アナさんって、何者なの?」


[ピコン。...もう少し時間をくれませんか?ちゃんと説明すると約束します。だから、私を]


「信じる。俺はアナさんを信じるよ。いつか話しても良くなった時に教えてくれればそれで良い」


[ピコン。...ありがとうございます...総司]


 アナさんは、少し厳しいけど、俺の為を思って言ってくれるのが伝わるしね。少し厳しいけど...大事だからもう一回言っておくけど。

 ダンジョンで正座させられた上、説教が長くて周りから奇異な目で見られて、果てしなく俺が社会的に転落気味だけど...あれ?俺って、アナさんに怒られてばっかりじゃね?何かアナさんに怒られてると思い出すんだよな、あのひとの事...。


[ピコン!総司、ドロップ品を回収してダンジョンを出る事を推奨します。あんまり遅いと後続の新人探索者rookie達からあらぬ噂を流されますよ?]


「それは、拙い!ただでさえ底辺を匍匐前進中の俺には大打撃じゃん!急ごう、えっと、」


 何故かいたククリナイフをホルダーに仕舞い、足早にドロップ品が落ちている所まで近付く。

 サクッと鑑定しながら拾う。

【怨みのウサピョンの肉】・・・ユニークダンジョンボスの肉塊。食用可。

 食べると呪われる事間違い無し!レッツトライ!...因みに呪いの内容はナイショ♪


【第1085Fダンジョン攻略証明書】・・・第1085Fダンジョンを攻略した証明書。魔法書式により改竄不可。

 おめでとう!これで君も探索者の一歩を踏み出す事が出来たね!でも『どうして魔物が証明書なんてドロップするの?』なーんて思った君!その理由は...聞きたい?ねぇ、聞きたい?


「...どうしよう。鑑定眼がウザい...」


 鑑定って、情報収集のskillじゃ無かったっけ?なんで逆に聞かれたり、呪われる肉を食べさせようとしてくんの!?

 食べるワケないだろ、そんな恐ろしいモン。

 証明書は...確かに気になるけどなんか鑑定眼に聞いたら負けな気がする。スゲェ気になるけど。


「後は、この腕輪か」


 最後の一つは黒銀のオシャレな腕輪。

 鑑定はもちろんしたんだけど、中々の逸品だった。

 性能は勿論なんだけど、それ以上に目を惹く項目があったから、家に帰ってからゆっくり考える事にした。

 正直なところ、身体中が痛くて早く休みたい。今はアドレナリンが分泌されているから大丈夫だろうけど、絶対ヤバい。

 回復剤を一つ飲み、ドロップ品を回収する。

 いつの間にか現れた入口とは別の扉、出口かな?その扉から入った先は安全部屋セーフティゾーン(講習で習った)となっており、中央に設置されていた転移陣に触れてダンジョンから脱出する。


「あぁぁ...疲れた...。

 ダンジョン探索って大変だよ、全く。

 早く家に帰って、寝たい...」


 超初心者専用チュートリアルダンジョンをなんとか生き抜く事に成功した俺は、ボロボロの身体に鞭を打ちながら、帰り路を急ぐ。



【収納ブレスレット《限定品》】・・・魔物を倒した際に得られるドロップ品を瞬時に収納する魔法道具。収納数は99種類、1種類につき99個まで。

 ※注意 一度取り出した収納物を再び収納する事は出来ない。ドロップ品以外収納出来ない。


 


 これで貴方の探索者ライフも鞄要らずに!?見た目は黒銀色のオシャレな腕輪。売れば高値間違い無し!さぁどうする?




 こうして俺は、これからの探索者人生の、ちっぽけで大きな一歩を確りと踏み出した。


 身体のあちこちが悲鳴を上げていたが、案外、向かい風は優しくて、労わるように頬を撫でていく。

 

 





 

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