ヒビワレ

普川成人

パチンコを打ちに行こう

 パチンコってご存じですか。玉を打つ遊びですね。僕は田舎に住んでるので、町にはパチンコとドラッグストアまみれです。いやー恐るべし二大巨頭ですね。


 そういえば、僕は成人していました。つい最近生まれたような気がしていたんですがね。ともかく、成人したからには、行かねばならん、パチンコへ。と心で一句読んでいくことにしました。友達と一緒です。


 現在時刻午前1時35分。決行です。店内はムッとした空気であふれています。時間のせいか、店内には2人しか客がいません。


 店員に初心者とばれないように、スッと台を選びました。自意識過剰ですね。

 エヴァンゲリオンにしました。やっぱりアニメとか映画見たので親しみがあります。台の上側に付いている部分に札束を入れます。


 ここで問題が発生しました。う、動かん。なぜだ、さっき確かにお金を入れたはずだ。財布からはやっぱり札が一枚ありません。

 まさか、ぼったくられてしまったのでしょうか。パチンコは身を亡ぼすと噂には聞いていましたが、まさか打つ前からやられてしまうとは……。


 友達とガサガサしていて気づきました。あ、これ隣の台に入れてたわ。


 そうです。台の左上に金を入れるのです。カイジで予習していたはずなのに。何だかちょっと恥ずかしいですね。


 玉を打ちます。多分このハンドルを握るのでしょう。くいっとひねると玉が飛んでいきます。何だか、感動しちゃいますね。しかしここで再び問題発生です。


 左打ちに戻してください。左打ちに戻してください。左打ちに戻してください。


 バカでかい音で台が怒り始めました。左打ちも何も、ハンドルひねってるだけじゃんと、焦りました。しかし焦っていても声は止まりません。この時、僕はシンジ君の気持ちを理解しました。


目標をセンターに入れてスイッチ バカ、煙で敵が見えない


 僕もハンドルをひねる以外の動作を知らないのです。シンクロ率100%でした。仕方が無いので、叫ぶ台を前にしてヤフー知恵袋を開きました。どうやらひねり過ぎるとダメみたいでした。意外に繊細なんですね。


 そうしてパチンコを打ち続けました。気分は固定砲台です。自分がこの玉を制御している。怒られずに。人間って成長するものですね。


 そうして玉を打ち尽くし、僕と友達はパチンコを後にしました。脇の下には、明らかに店内の熱気が理由じゃない汗が出ていました。


 皆さんパチンコを打ちに行く際は、有識者を連れて行くか、予習をしていってくださいね。

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