僕と『義妹』のハーレム

クソでかいベッドに座り、僕はぐっと拳を握りしめる。


「僕は、僕はやり遂げたぞ…………っ!!」


目の前には死屍累々の四人の美少女な『義妹』たち。

僕は達成感に包まれながらベッドに体を投げ出した。


先日、ギャルな『義妹』によって落とされた爆弾のせいで爛れた休日の開催が決定したわけなのだが、

『義妹』を引き連れさくらの部屋に入れる家具を選んでいる最中に奴はまたしても爆弾を投下してきた。


「皆でするならさー、やっぱデカいベッドが欲しくない?」


展示されているキングサイズのベッドをぽすぽす叩きながらそんなことを言い出した。

どうもこいつはハーレムプレイというやつをやりたがっているらしい。

そして他の『義妹』たちもそれに乗り気なようなのだ。

ユキナでさえ目を輝かせているんだから僕に味方はいない。

僕がみんなの部屋を渡り歩くんじゃダメなんすかね?とか、一対四は荷が重いと思うんです、とか言ってみたがまるっと無視された。


結局『義妹』たちに押し切られる形で購入することになったのがこのクソでかベッドだ。

空き部屋にこいつとサイドテーブルだけを入れて完全にヤリ部屋仕様になっている。


「疲れた…………もう、ムリ…………」


朝から始まった爛れた一日は、『義妹』たちを全員ノックアウトすることで今ようやく終わりをつげた。

途方もない疲労感で重たい体はすぐに眠りに落ちそうになる。


突如として始まった一対四の非対称対戦ゲームは人数の少ない僕が圧倒的に不利な条件で開幕した。てっきり僕は一対一を順番に行うものだと思っていたのに、彼女たちは四人で徒党を組んで同時に襲い掛かって来たのだ。

まさしく天国のような地獄だった。

ぼくは襲い来る彼女たちの攻勢を必死で耐えしのいだ。優しいユキナに助力を求め、従順なひまりを従え、純粋なしずくをだまくらかし、遠慮ないさくらと取引を行い、その時々で彼女たちのいずれかを味方に引き込んで戦い抜いた。


そういう訳で現在僕は死ぬほど疲れ果てているのだ。

もはや指一本動かすのさえ億劫だ。


――――もうしたくない、けどまたやりたい。


「お兄ちゃんお疲れ様ー。お水とタオル持ってきたよー」


いつの間にか復活していたユキナがシャツを羽織って飲み物とタオルを手渡してくれた。

皆素っ裸の中服を羽織ってる彼女がエロく感じるのは僕の頭がおかしくなっている証拠だろう。


「ああ、ありがと」


受け取った水をゴクゴク飲み干し、濡れたタオルでドロドロの体をきれいにしていく。

ひんやりとしたタオルの感触が火照った身体に気持ちいい。


ユキナは他の『義妹』たちにもタオルと飲み物を配り終えた後、換気のために窓を開けにいった。

窓が開かれた瞬間、夏の匂いを感じさせるぬるい外気が爛れた室内の空気を追い出していく。


「お疲れだねー」

「もうへとへとだ……」

「腰とか痛めてない?」

「多分大丈夫……この歳で腰痛持ちにはなりたくないな」

「でも楽しかったねー」

「たまにならこういうのも悪くないな」


そっとユキナの羽織ったシャツを脱がせ抱き寄せる。


「まだしたいの?」

「まさか、もうムリだよ。なんか抱きしめたくなっただけ」

「もう、しょうがないなー」


嬉しそうに体を預けてくれる。

そのまま密着してゆったりと寝転んでいると復活した他の三人ものそのそと動き出し僕にべたりとひっついてくる。


「お兄様、どうかわたくしもお傍に……」

「あ、ユッキーもひまりんもずるーい!あーしもあーしもー」

「私も……にぃにとひっつきたい」

「みんないらっしゃーい」


過密状態で暑苦しいハズなのに僕に触れる四人の体温が妙に心地よかった。


そのまま夕方まで寝て過ごして、体を起こすと全身の色んなところが筋肉痛になっていた。

普段使わない筋肉を酷使したせいだろう。


「なんか全身アチコチ痛いんだけど、ヤバくない?」

「ええ……おかしなところが筋肉痛です。お兄様は大丈夫でしょうか」

「僕も全身ダメだな。ユキナは?」

「ユキナもちょっとだけ痛いかも?ちょっとはしゃぎすぎちゃったね」


それは体力オバケのしずくを除く全員がそうだったようで、顰めた顔を見合わせて苦笑してしまう。

何事もほどほどが一番という重い教訓を得た気分だ。


「楽しかった……またしたい……またしよう……」


僕の目下の悩みは目を輝かせてみんなにそう告げるしずくに、どう答えを返そうかというものだった。

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