僕と『義妹』の第二次お風呂戦争
ひまりが我が家の一員となってから僕は今まで以上に楽しく暮らしている。
もちろん心配などしていなかったが、ユキナとひまりは縄張り争いやマウント合戦をすることもなく実姉妹のように仲良くしている。
ちょくちょく二人で買い物に出かけたりカフェでお茶したりもしているらしい。
年上のユキナが控えめなひまりを引っ張っているのかと思いきや、意外にもひまりもユキナ相手にはハッキリとものを言う。
この前もユキナが夜中にこっそりアイスを食べている所を見つかって怒られていた。
まあそんな感じで我が家は和気あいあいとしている。
二人が仲良く食事の支度をしているのを眺めるのが最近の僕の楽しみだ。
二人の反応の違いを観察するのも面白い。
例えば僕が一人でゲームしているとき。
「お兄ちゃんこれユキナも出来る?一緒に遊びた~い」
とユキナは積極的に遊びたがる。
対してひまりは、
「楽しんでらっしゃるお兄様を見てるだけで幸せです」
とうっとりこちらを見つめてくる。
正直くすぐったいがそれにも慣れてしまった。
変わったことといえば、学校での昼食にひまりが加わったことくらいだ。
学年の違うひまりと一緒に食べるために最近は中庭で弁当を広げることになった。
もちろん剛と中里さんも一緒だ。
はじめて皆で食べた日、中里さんがひまりを気に入り愛でくりまわしていた。
小柄な見た目も可愛らしく、何より先輩を立てようとしてくれるその姿勢にグッときたそうだ。
「はあ~、こんな健気でカワイイ後輩がいるなんて。陸上部の後輩全員生意気すぎっ!ひまりちゃんの爪の垢煎じて飲め!」
そんなことを言いながらひまりをそのささやかな胸に抱きしめて撫でまくっていた。
ひまりが助けを求めるようにこちらを見ていたが、ひまりに羨ましそうな視線を向ける剛を蹴り飛ばすので忙しかったので無視した。
「お兄様に見捨てられました……」
落ち込むひまりには悪いが助けようとすれば中里さんに邪魔するなとばかりに睨まれるのだ。
命の危険は無いので諦めて欲しい。
「更紗ちゃん、そろそろ解放してあげてほしいな」
頃合いを見計らってユキナが助け出すまで、ひまりはされるがままになっていた。
そんな楽しい日々の中で一つだけ問題があった。
それはお風呂についてだ。
元々僕は一人でさっさと体を洗って湯船でしっかり温まったら長湯せずにさっと出てしまいたいのだが、ユキナが『お風呂ご奉仕』をしたがるのだ。
これまでは僕とユキナの議論は平行線のまま、ユキナの意見を黙殺していたのだがひまりが現れたことで均衡が崩れた。
てっきり僕至上主義のひまりならこちらの味方をしてくれると思ったのだが、彼女はユキナの方に付いてしまった。
「我儘をいうようにとお兄様が仰られましたもの」
そう言われてしまえば反論もできない。
醜く最後まで抵抗してみたが、結局三人で洗いっこすることになった。
今、風呂の椅子に腰かける僕の前には二つの美しき女体が鎮座している。
陶器のような白い肌の芸術品の如き美貌のブロンドヘアの天使と小さな体躯と大きな胸のアンバランスさがエロさを引き立てる楚々として淫猥な大和撫子。
二つの圧倒的な美を前に僕の槍が突き刺す先を求めて欲深く大きく伸びた。
目の前の二人は獲物を見据える肉食獣の如く情欲に濡れる目でこちらを見つめている。
そして……地獄が幕を開けた。
二人は僕を左右から挟み込むように陣取ると僕の体を丹念に洗い上げていった。
「お兄ちゃん、かゆいところはありませんか~。ユキナがお兄ちゃんが洗ってほしいところたくさんコスってあげるからね」
「お兄様、ひまりのご奉仕はいかがでしょう。お兄様のイイところをひまりにたっぷり磨かせてくださいませ」
耳元で蠱惑的に、そんな言葉を囁かれる。
ふわふわの泡をたっぷりつけたタオルで優しく丁寧に僕の体を磨き上げていく。
ユキナは右から、ひまりは左から、暴力的なまでの快感の洪水で僕はなされるがままに揉み洗いされる。
あくまで体を洗うという範疇に収まる行為だけなのに、あまりの気持ちよさに僕は情けない声を上げるハメになってしまった。
ぐったりするほど綺麗に洗ってもらった僕は、日向でくつろぐ猫のように満足気な表情を浮かべるユキナを見て思ってしまった。
――――このままいい様にされっ放しで終わってたまるか。
「ひまり、次はユキナの番だ。ユキナを椅子にすわらせなさい」
そう命じればひまりは粛々と従ってくれる。
「さあユキナ。僕がたっぷり、そうたっぷりとキレイに洗ってあげるからね」
僕の穏やかな笑顔を見たユキナは椅子の上で何故か命乞いをはじめてしまった。
「お、お兄ちゃん……優しくしてね……」
もちろん体を洗うだけだ。優しくするに決まってる。
それから丁寧に、丁寧に、ユキナが泣いて許しを請うまで徹底的に丹念に優しく洗い上げた。
「もう、ダメ……お兄ちゃん…………ゆるしてぇ……」
「うんうん。随分綺麗になったな」
僕は満足げに頷いて、彼女の体についた泡をお湯で洗い流してやる。
ユキナを優しくわきに退け、もう一人に向き合う。
「さて、次はお前だ……」
ユキナの惨状に顔を青ざめたひまりに笑顔で告げる。
「お兄様……どうか、どうかお慈悲を……」
「うんうん。ひまりもちゃあんとキレイにしてあげるさ」
それでも抵抗することなく椅子に座るひまり。
もちろん慈悲深く、優しく丁寧に、僕が満足するまで徹底的に身体の隅々まで洗い上げた。
「うぅ……お兄ちゃんやりすぎだよぉ……」
「お兄様……鬼畜です」
「お互い様だろ」
三人揃って風呂から出る頃にはぐったりと草臥れ果てていた。
体を洗うだけだというのに実にバカバカしいかぎりだ。
それでもなんだかんだで楽しんでしまった僕らは、お風呂での洗いっこは月に一度と協議の末に取り決めた。
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