僕と『義妹』の最初の夜
風呂から上がり、交代でユキナが風呂に行くのを見送ったら暇になった。
「積みゲー消化するか……」
PCを起動してゲームを選ぶ。
選んだのはレトロな雰囲気のアクションゲーム。
やり込み要素が豊富だと話題になったものだ。
「やりこみは……後回しだな。とりあえずストーリー終わらせるか」
しばらく遊んでいるとノックの音が響く。
「お兄ちゃ~ん、何やってるの~?」
風呂上がりのユキナが瞳と同系色のブルーのパジャマに身を包んでやってきた。
「何してるの?ゲーム?」
「そそ。積みゲー消化中」
「積みゲー?」
「買ったままやらずに積み上げてたゲームのこと」
「なるほど。横で見てていい?」
「いいけど、先に髪乾かした方がいいよ。洗面所にドライヤーあるから」
「じゃあ乾かしてくるー」
パタパタと部屋から出ていく。
遠くのドライヤーの音を聞きながらゲームを続けているとユキナが椅子を持って戻って来た。
「んふふー、これ面白い?」
「結構面白い。ユキナは見てるだけで退屈じゃない?なんなら一緒に出来るゲームやるか?」
「お兄ちゃんの邪魔したくないから今日はいい。見てるだけで十分だから」
「そう?ならいいけど」
それからだらだらゲームを続けながらユキナと雑談する。
途中正規ルートから外れて迷子になった時にはユキナのナビゲートのお陰でルート復帰できたりもした。
こういうのって傍で見てる方がマップ覚えてたりするよね。
「うっし、クリアー」
「やったーおめでとー…………ふわぁ」
ストーリー自体は簡単な部類らしくそれから二時間ほどでクリアできた。
隣の天使から可愛らしいあくびが漏れる。
「眠いんなら部屋に戻って寝ちまいな。椅子はそのまま置いてっていいから」
「んー、そうするー。お兄ちゃんおやすみー」
そう言って僕の頬にキスするユキナ。
あまりにも自然なおやすみのキスに吃驚した。
「ほらー、お兄ちゃんもー」
「あ、あぁ。おやすみユキナ」
ユキナの頬にキスすると眠そうな顔でふにゃふにゃと笑って出ていった。
「二週目…………今日はやめとこ」
ユキナを見送ったあと、ゲームを続けようかと思ったがいまいちやる気が起きない。
どうやら僕は彼女が寝てしまったのを残念に思っているようだ。
半日でこれとはどうにも重症らしい。
PCの電源を落としてユキナの持ってきた椅子を片付ける。
部屋に戻ると枕を抱きかかえたユキナが突っ立っていた。
「お兄ちゃんと一緒に寝たいな」
彼女も部屋に戻った後寂しくなったんだろうか、ちょっと恥ずかし気にこちらを見ている。
「別にいいけど…………寝るだけだぞ?」
「何もしないの?」
「しない」
「ユキナは『義妹』なんだからエッチなことしてもいいんだよ?」
「しません」
むぅむぅとむくれる天使とベッドに潜り込む。
「んへへー、お兄ちゃんの匂いがするー。お兄ちゃんぎゅー」
「おいやめろ」
「やめませーん。……お兄ちゃん、おっきくなっちゃってるよ?ご奉仕する?」
「いらんからさっさと寝ろ。変なことしたら蹴り出すぞ」
「はーい。おやすみお兄ちゃん」
言うなり寝息を立てはじめた。
彼女の寝顔から目が離せなくなり、ゴクリと喉が鳴る。
「……はぁ……やっぱ滅茶苦茶カワイイな…………つーかまつげ長っ……」
僕に密着して無防備な姿を晒すユキナによからぬ感情がムクムクと掻きたてられて、僕は手をそっと彼女の――――
「おにいちゃん……わたしとなまこどっちがだいじなのー……」
「…………どんな夢みてんだよ。はぁ、寝よ」
奇怪な寝言に欲望は霧散してしまった。
中途半端に伸ばされた手で彼女の頭を一撫でしてから目を閉じる。
今夜はなかなか寝付けそうにない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます