藤井五冠と羽生永世七冠の王将戦第七局の、胸が熱くなるような名場面
- ★★★ Excellent!!!
これは、将棋の歴史に残るであろう大一番、藤井五冠と羽生永世七冠の王将戦第七局の、将棋ファンならずとも胸が熱くなるような名場面を描いた、非常にドラマチックで迫力のある小説ですね。
まず、序盤で戦いの舞台が整えられ、世間の注目度の高まりが描かれる部分から引き込まれます。そして、一局目の鮮烈な羽生勝利、藤井の連勝、そして第四局での「羽生マジック」と「手の震え」の描写は、単なる勝敗を超えた人間ドラマとして、将棋を知らない層まで巻き込む熱狂をよく表現しています。特に、小学生の間でまでブームになる社会現象の描写は、二人の天才がどれほど大きな影響を与えているかを具体的に示しており、ユーモラスながらも熱狂ぶりが伝わってきます。
クライマックスの第七局の描写は、まさに圧巻です。
羽生永世七冠の引退と会長就任、そして藤井五冠がこの敗戦を契機に史上初の八冠を達成するという結末は、両雄の物語を美しく完成させています。羽生は伝説の記録を打ち立て、藤井は真の王者へと昇華するという、新旧交代でありながらも、互いを高め合った最高の形で物語が締めくくられています。
総じて、これは「将棋」というテーマを通して、人間の持つ極限の集中力、執念、そして美意識を描き切った、感動的で劇的なエンターテイメント小説であると感じました。