ひとりの少女は命を削る異能を武器に、乱世の王と対峙する

記憶喪失の少女、日向は剣術道場にかくまわれ、
優れた運動神経を見せながら日々を過ごしていた。
しかし彼女は、単純な身体能力のみならず、並外れた異能「阿修羅」を持っていた。

その力の発露を契機に「名古屋戦闘部隊」に所属することになった日向は
腹に一物ありそうな隊長や美しき孤高の副隊長・桜屋敷楓に迎えられる。
さらにやはり一癖も二癖もありそうな同僚たちと共に、日本を牛耳る王を擁する、大阪国との戦いに挑む。

敵や味方が目まぐるしく入れ替わる中でも、日向の真っすぐな想いはただひとつ。
「わたしは、楓の味方」
複雑な出自ゆえに閉ざされてしまった楓の心を、日向は開かせることができるのか。
大阪国を打ち倒し、平和な世を築くことはできるのか。

手に汗握るバトルシーンが見事で、幕末の歴史もの作品を読んでいる気分になります。
作品の設定自体は純粋な歴史ものというよりもパラレルファンタジーなのですが、
描かれている戦いの空気感、裏切り裏切られる展開など
随所に見られる描写が、本作を「歴史・時代・伝奇」ジャンルたらしめています。

純粋な日向の性格と、それに見合わない強すぎる異能及び戦闘能力。
彼女だからこそ紡げる歴史を、しかと見届けてください。