第112話 告白
慶長六年七月中旬――
本家屋敷の主殿の一角。
奏は控えの間で、雅楽の衣装に着替えていた。
後は化物の仮面と
雅楽は古来より宮廷や寺社で伝えられてきた音楽で、舞を伴う
外来の歌舞は、中国大陸系の左方と朝鮮半島系の右方に大別される。
左方の中心を成すのは、唐代中国の宮廷で大成した歌舞である。唐代中国の宮廷や楽舞は、古代以来の中国の伝統的な楽舞のみならず、シルクロードを経て西アジアやインドから中国に齎された楽舞の影響を受けていた。左方には、曲数は少ないが、
右方には、高句麗、百済、新羅の三国時代の朝鮮から伝えられた楽舞と、中国東部から朝鮮半島北東部に
陵王は、左方の曲目の一つだ。
蘭陵王、
曲の由来は、
蛇孕村は、八百年前に外界から閉ざされた隠れ里。
今でも雅楽や
「よし、完璧」
てきぱきと着替えを終えると、己を鼓舞するように言う。
本当に完璧かどうかは、後で女中衆に確認して貰うしかない。京都の『科学者』が発明した姿見は、おゆらがマリアの為に購入し、蛇孕神社に寄進してしまった。マリアの私物を貸せとは言えず――奏が頼めば貸してくれるだろうが、巫女衆に余計な仕事を増やしたくない。女中衆が来るまで、控えの間で大人しく待機する。
何故、奏が陵王の装束を着ているのか?
その理由は、唐突な出世にある。
先日、奏は薙原本家の当主になった。
今月の評定でマリアが当主を辞めて、奏に当主の座を譲り渡したのだ。
本家の血を引くとはいえ、男子が薙原家の当主に就くなど前代未聞。分家衆の反発も予想されたが、『
奏自身、会合や評定に出席したわけではなく、自室で起請文を書いていただけなので、実感が湧いてこないが……すでに必要な手続きを済ませており、マリアも正式に本家当主を辞めた為、後戻りはできない。
奏が本家当主の地位を得たのは、
本当は時間を掛けて、少しずつ薙原家の政を改善していくつもりが……マリアの暴走で後戻りできない状況となった。
今すぐ本家当主になりたいなんて言ってないんだけど。マリア姉にお願いしたら、こういう結果になるよね。
「はう……」
諦観の溜息をつきながらも、心の中で「因果応報」と繰り返し、己の浅慮を戒めた。
当然、本家当主の地位に固執するつもりはなく、
勿論、手続きが済んだから、これで終わりというわけではない。
新しい当主の就任を祝う宴を催すわけだが、宴の内容でマリアと奏が揉めた。
マリアは「今度こそ『かなたん音頭』の出番ね。かなたんの女踊りで分家衆の心を鷲掴みにしなさい」と言い張り、奏は「絶対に嫌! なんで分家衆の前で恥を掻かないといけないの! ていうか、マリア姉が僕の女踊りを慣習にしようとしている!」と断固拒否の姿勢を見せ、早くも新体制で内乱の兆しか――と危惧されたが、獺より「雅楽でいいんじゃないか。奏も陵王なら舞えるだろ」という助言を受け、「それそれ、それ――ッ!!」と奏が賛同した為、宴の席で陵王を舞う事になった。
思い返すと「どれだけ必死だったんだ、僕……」と羞恥心を覚えるが、分家衆に『かなたん』音頭を披露するよりマシである。本当に獺と和睦して良かった。序でに『かなたん親衛隊』も解散して貰いたい。
親衛隊長がマリア姉だからなあ。
難しいのかなあ。
奏は下らない事を考えながら、円座の上で端座した。
円座の前には、横に長い机が置かれていた。
机の上には、化物の仮面と牟子と桴と
面は木製。黒地で金漆塗り。丸い目玉が剥き出しで、鼻が高く突き出し、
加えて
先月、マリアから譲り受けた『チェーンソーサムライ』である。何度も読もうとする度、おゆらに妨害されたり、おゆらに取り上げられたり、悉く
まあ、読もうと思えば、昨日でも
読書は、奏の数少ない趣味の一つだ。書物を読んでいると、自然と心が落ち着く。
奏はドキドキしながら、『チェーンソーサムライ』の表紙を
『「チェーンソーサムライ」連載中止のお知らせ
平素より月刊腐れ脳味噌をご愛読頂き、厚く御礼申しあげます。
慶長六年二月号より弊誌にて掲載予定の「チェーンソーサムライ」に関しまして、同年二月号の掲載を中止させて頂く事になりました。
読者の皆様を始め、関係各位には多大なご迷惑をお掛け致しました事を深くお詫び申しあげます。誠に申し訳ありません。
同年一月号に掲載した「チェーンソーサムライ」の売り文句につきまして、「
夏目葬式が考案した売り文句――「何故、吾輩が税務署に赴いて、課税事業者選択届出書を提出し、課税事業者にならねばならぬのだ! 権力者が、吾輩の粗利益の一部を奪うなど言語道断! 消費税は廃止一択! それすらできぬなら、吾輩は
夏目葬式先生の次回作に御期待ください。
慶長六年三月八日
株式会社「靴を履いて土俵に上がるな」
月刊腐れ脳味噌編集部』
「えっ――これだけ!? 編集部の謝罪文で終わり!? まさかの
奏は驚いて、ぱらぱらと
「見開き二項が謝罪文で、残りは全部白紙!? なんで書籍化したの!? 誰が表紙を描いたの!? ていうか、畿内の
思わず立ち上がり、改めて表紙を凝視する。
奏は
推察するに、編集部が夏目葬式に「
それでも金銭に眼が眩んだのか、編集部は夏目葬式に無断で『チェーンソーサムライ』を書籍化。これが畿内の
もう一度、謝罪文を読み返してみるが、奏の疑念が解消される事はない。
作者が気になるというか……豊臣政権は、畿内の民に消費税なんて掛けてるんだ。室町将軍家の『緊縮財政』で懲りてないの? それとも消費税を掛けなければならないほど、畿内だけ物価上昇率が高いとか? そんなわけないか。先生の話が確かなら、外界の武士が外界の民を弱らせたいだけだろうし。
色々と考え始めたら、陰鬱な気分になってきた。
「はう……」
奏は溜息をついて、「チェーンソーサムライ」を机の上に置いた。
抑も
狒々祭りの時もそうだけど。読書をする度に、僕の心が掻き乱される。悪い
馬鹿馬鹿しい事を考えていたら、不意に木戸が開いた。
「あっ、マリア姉」
控えの間を訪れたのは、女中ではなく許婚だった。
許嫁同士とはいえ、木戸を開く前に「入っていい?」と確認くらいしてほしかった。奏の心中など気にも留めず、マリアは堂々と控えの間に入る。
「私が来る前に着替え終えていたのね」
マリアは両の瞼を開くと、抑揚を欠いた声音で言った。
「奏の着替えを手伝うつもりで、控えの間に来たのだけれど……どうして奏は、いつも着替えるのが早いのかしら」
「僕の着替えは早くないよ」
マリア姉が遅いんだよ。
本家の御屋敷で迷子になってるだけだよ。
と心の中で突っ込みを入れた。
「どこか変な処ある」
奏は両腕を広げて、マリアに陵王の衣装を確認して貰う。
「とても良く似合うわ。別におかしな処もないわね」
黄金に輝く双眸が、奏の佇まいを精密機械の如く確認する。
「でも奏が一人で着替えを終えた所為で、私の遣る事がなくなったわ。今すぐその衣装を脱ぎなさい。私がもう一度、着替えさせてあげるわ」
「無茶を言うな。僕が着替えた時間を無駄にしないで」
許婚の無茶振りを軽い調子で拒絶する。
薙原家の毎度の遣り取りだ。
「その
マリアは、奏の持つ
「ああ……うん、読んだよ」
「どういう話だったの?」
「えっ!?」
「私は、その
「……」
それなら自分が読んだ
「結局、どういう話だったの?」
「……とても高尚な作品だったよ。内容も……
「無門関」
「そう無門関。
嘘が下手な奏は、咄嗟の思いつきで誤魔化そうとする。
無門関とは、宋代の禅師――
「奏は、狗(動物)に仏性はあると思う?」
「それは……『無』なんじゃないの」
唐突な問い掛けに、奏は戸惑いながらも答えた。
無門関の公案は、『
『趙州和尚、
現代語訳をつけると、
『或る僧が趙州和尚に向かって、「狗(動物)にも仏性はありますか」と問うた。趙州は「無」と答えた』
この先は『無門曰く――』と続き、無門禅師の話が始まる。
「狗(動物)に仏性はないわ。人は『脳に掛かるストレスを減らす環境造り』ができるけれど、他の生類はできない。加えてGautama SiddharthaもHomo sapiens sapiensとして生まれてきたわけだから。つまり狗(動物)に仏性なんてないわ」
「……」
奏は無言で瞬きをする。
マリアの話が難しすぎて、全く理解できない。
「座りなさい」
「あ……うん」
奏は円座の上で端座した。
「陵王を舞うまで時間がある。その間、少し講釈をしましょう」
マリアも瞼を閉じて、奏と向かい合うように座った。
「奏は、人の魂や脳について考えた事がある?」
「えーと……」
「無理に答えなくてもいいわ。先ず人の魂について定義しましょう」
「人の魂を定義できるの?」
「私は定義できるわ。人の魂を定義できないと、聖呪で『
奏が不思議そうに尋ねると、マリアは決然と言った。
「人の魂とは、『意識や記憶の集合的な能力。想像したり、認識したり、過去を思い出したり、夢を見たりするもの』よ」
「なんか……曖昧なものなんだね」
「曖昧なものを定義しようとすれば、曖昧な表現に辿り着くわ。人の脳は、もう少し具体的に説明しようかしら」
「……」
「人の脳は、千億個のニューロンが千兆本も相互に接続し合い、毎秒千回も電気信号を送り合う。加えて脳内では、ニューロンだけではなく、多種多様なグリア細胞や免疫細胞も様々な役割を果たす。他にも脳は、呼吸や心拍数、運動機能の調整、不随意反射など異なる役割を持つ部位が存在する。最も外側に位置する大脳新皮質は、記憶を保存したり、計画を立てたり、考えたり、想像したり、夢を見るという役割を担う。他にも脳は、気分に影響を与えるセロトニンや記憶学習に関わるヒスタミンなど様々なホルモンや腸内細菌や心臓神経からも影響を受けている」
「ごめん。何が何やら……」
具体的に説明されても、専門知識を持たない奏は、マリアの説明が全く理解できない。
「人の魂と脳の解析は、すでに完了しているのよ。人の魂と脳の解析を終えたうえで、人とは何か。他の生類と何が違うのか。答えは先程も述べた通り。人は『脳に掛かるストレスを減らす環境造り』ができる。他の生類はできない」
「……」
「人は、他の生類よりも前頭葉が発達した。前頭葉は、本能の抑制や理性的な判断や論理的な思考を行う。大脳辺緑系が生み出す恐怖や不安や怒りという本能を抑制し、他の生類を超える進化を促した」
「進化……」
奏は鸚鵡返しに呟いた。
「貨幣で例えると分かりやすいかしら? 人は貨幣を創れる。猿は貨幣を創れない。なぜか? 人は『脳に掛かるストレスを減らす環境造り』ができるから。借りパクが当たり前の原始時代に耐えられない。それゆえ、前頭葉で本能を抑え込み、貸借関係を築いた」
「……」
「貨幣は負債の一種。貸借関係を作らなければ、貨幣を生み出す事もできない。抑も人より前頭葉が未発達な猿は、貸借関係を構築できないのよ。頭の良いニホンザルが観光客からお菓子を三個盗み、そのうちの二個を仲間に貸して、『それ、貸しだからな。来月、三個にして返せよ』と言い、仲間のニホンザルが観光客からお菓子を四個盗んで、債権者のニホンザルにお菓子を三個返す――なんて事は有り得ないわ。それは『猿の惑星』に出てくる猿ね。人の脳を持つ進化した猿よ」
「……」
「Cro-Magnonは、集団狩猟に優れていた。彼らは死者を花や石と共に埋葬し、呪術的な儀式を催し――洞窟の中で暮らし、狩猟や儀式の様子を壁画として残した。アルタミラ洞窟壁画には、遠近法が用いられている。牛の角の長さを変えて、奥の馬の脚は彩度を落とす。とても高い知能を備えていたけれど……洞窟に隠れ潜む暮らしは、彼らの脳にストレスを掛けた。夜の洞窟は、狭くて暗くて汚くて恐ろしい。彼らは脳に掛かるストレスを減らす為、洞窟の外に飛び出した。獲物を連れて旅に出たのよ」
「牧畜?」
「正解」
奏が尋ねると、マリアは冷然と答えた。
「次に農業を始めた。農業を続ける為に村を作り、外敵から身を守る為に国を作り、人口の増加を受けて都市を造り……インターネットが普及すると、人は都市から地方に移り住んだ。人は他人と顔を合わせるだけで、脳にストレスが掛かるから。人の多い都市を避けて、地方に生活基盤を持つようになった」
「……」
「自分の外見にストレスを感じる者は、整形手術で外見を変えて。子供ができなくてストレスを感じる者は、不妊治療を行い。常人である事にストレスを感じる者は、遺伝子すら造り変える。わざわざ世代を跨ぐ必要もない。戦場に新型機を導入するように、自分達の意志で進化を続ける」
「……」
「生物の適応進化……私がおゆらに刷り込んだ言葉だけれど。全ての生類の中で、人だけが生物の適応進化から逸脱している。自然選択により環境に適応した遺伝子が広がるわけではなく、脳に掛かるストレスを減らす為に環境を造り変える。極めて特殊な生物と言えるわ」
生物の繁栄と考えれば、世界の支配者は微生物類だ。ウィルスなどが良い例である。凄まじい速さで進化を繰り返し、次々と環境に適応した新種を生み出す。然し微生物類は、『脳に掛かるストレスを減らす環境造り』ができない。
脳がないからだ。
或いは猿に限らず、海洋哺乳類も高い知能を有しているが、『脳に掛かるストレスを減らす環境造り』ができない。雄大な海原を漂う鯨が、「最近、餌の魚が減ってきたな。養殖で鰯を増やすか」とは考えない。他の生物と同様に、餌が少なくなれば、新たな餌を求めて彷徨うしかない。
然し人間は違う。
全ての生物の中で、
「じゃあ、なんでおゆらさんに生物の適応進化なんて吹き込んだの?」
「『
「別に学者さんと戦う気はないけど……」
奏は困り顔で頬を掻いた。
「人は仏性を宿しているから、仏僧でなくても
「マリア姉……」
奏は呆然と許嫁の名を呟いた。
ニューロンやらインターネットやら、全く知らない言葉が続いたので、話半分のつもりで聞いていたが……ようやくマリアの意図が理解できた。
不器用ながらも、奏の背中を押している。
「尤も私は、一度も奏に勝てた事がないから。わざわざ『魔法や妖術を無効化できる魔法使い』なんか捜さなくても、最終的に奏が私を斃して終わるわ」
「マリア姉は勘違いしてる」
「……どういう事かしら?」
穏やかに微笑みながら言うと、マリアが珍しく怪訝そうな顔をした。
「マリア姉も勘違いしてる……が正しいのかな。先生も朧もおゆらさんも……みんな、僕がマリア姉を斃す為に、『魔法や妖術を無効化できる魔法使い』を捜したり、本家の当主に就任したと考えてるけど。僕はそんな事、一言も言ってない。僕は『
「……」
「僕はマリア姉を斃すつもりはない。マリア姉を救いたいんだ。不老不死とか永遠の命とか……どう考えても辛いだけだよ。家族や知人が死に絶えても、ずっと一人で生き続けるなんて……時間を掛けた拷問じゃないか。僕はマリア姉に、他の人と同じように生きて、他の人と同じように死んでほしい。僕と一緒に生きて、僕と一緒に死んでほしい」
「……」
「僕はマリア姉に幻想を押しつけてきた。自分で勝手に理想のマリア姉を創り上げて、勝手に尊敬したり、勝手に喜んだり、勝手に舞い上がったり、勝手に幻滅したり……現実のマリア姉を置き去りにして、自分の事しか考えてなかった。もう少し早く本当のマリア姉に気づけたらよかったんだけど……ごめんね、僕も余裕がなかったから」
「……」
「でもこの一ヶ月で色々な事があって……僕も少しは成長できたから。今の僕ならマリア姉を救えると思う。特に根拠はないけど――なんとかなる。だから僕と一緒に生きて、僕と一緒に死んでほしい」
奏は言葉を選びながら、途切れ途切れに想いを伝える。
果たして奏の想いは、正しく相手に通じたのか――マリアは左手の人差し指を唇に当てて、無表情で考え込む。
やがて――
「……私は、奏から愛の告白をされているのかしら?」
マリアは抑揚を欠いた声で、告白した当人に現状を確認した。
「そうだけど……嫌だった?」
奏は頬を朱に染めて、照れくさそうに尋ね返す。
「嫌ではないわ。嫌ではないのだけれど……酷く動揺しているわ。何と答えればよいのか分からないくらい……心が動かされているわ」
全く感情が乱れているように見えないが、マリアは無表情で黙考を始めた。
「これほど感情を掻き乱されたのは、どれほど前の事になるか。初めて奏の女装を見た時以来ね。とても懐かしいわ」
「……」
マリアが奏を女装させたのは、先月の狒々祭りの前日である。
意外に最近の事だった。
然し奏は空気を読んで何も言わなかった。
「今の私は、平静を喪失している。間違えて密林でサソリ型のゲーミングチェアを二台もポチるくらい平静を喪失しているわ。どうして蛇孕神社にサソリ型のゲーミングチェアが二台もあるのかしら?」
「……」
マリア姉が間違えて二台も買ったからでしょ……と心の中で呟くが、マリアが平静を取り戻すまで静かに待ち続ける。
「とにかくそう……私の敗北で間違いないのだけれど。毎度の如く、私が奏に負けただけなのだけれど。とても気分が良いわ。奏ふうに喜びを表現するなら、『勝ち確演出キタコレ! 彼氏ガチャでSSR引いたったわ!』という処かしら。たとえ奏に負けたとしても、
「……」
「奏と共に生きて、奏と共に死ぬ。とても素敵な未来ね。私も奏の理想に共感したわ。奏に置き去りにされないように、
「
ようやくバグが修正され始めた許婚に、奏は優しい声音で言った。
結局、奏の気持ちは変わらない。
「奏の尊さを再認識した処で……そろそろ私も広間に戻るわ。壇上で新しい御本家を出迎えなければならない」
「うん」
「奏は――
「ええと、宴の席で陵王を舞う前に激励してくれてるんだよね? 僕は中二病じゃないから、
許婚の激励を受けた奏は、普段通りの遣り取りに安堵し、雲一つない快晴のような笑みを浮かべた。
慶長六年七月中旬……西暦一六〇一年八月中旬
袍……日本や中国などで用いられる衣服。日本に於いては、朝服の上衣の一つ。一番上に着る上着。
裲襠……貫頭衣
紅紗……薄く透き通る紅色の絹織物
窠紋……数個の円弧形を繋ぎ合わせた中に、唐花や花菱などを入れたもの。木瓜とも言われ、家紋として用いる。
当帯……裲襠の上から絞める腰帯
透彫……金属、板、石などを表から裏まで透けるように
指貫……袴の一種。
林邑……現在のベトナム
田楽……平安時代中期に成立した日本の伝統芸能。楽と踊りなどから成る。田植えの前に豊作を祈る田遊びから発達した。
能楽……能
糸鞋……白い紐の組紐で編んだ履物
仏性……仏の本質。仏としての本性。
Gautama Siddhartha……ゴータマ・シッダールタ。釈迦。
Homo sapiens sapiens……ホモ・サピエンス・サピエンス。ヒト。現生人類。
Cro-Magnon……クロマニョン
アルタミラ洞窟……スペイン北部、カンタブリア州の州都サンタンベルから西へ30㎞ほどのサンティリャーナ・デル・マル近郊にある洞窟。ユネスコの世界遺産に登録されているアルタミラ洞窟壁画で知られる。
衆生……命あるもの。心を持つ者。
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