2ー確信ー
―2020年11月2日7:52― タイムリープ2
「何ぼーっと立ってんだ!片付け手伝えよ」
場所は上田高校弓道場。やはり考えはあっていたようだ。これは【タイムリープ】だ。聞いたことのあるセリフとこの時間軸に来る前に見た時刻からそれが事実であることを裏付けている。
影二はまた繰り返せることに深い喜びを感じている。
だが「ごめん。すぐ手伝うよ」なんて言って二回目のタイムリープなのに落ち着いているようだ。
モップをかけながら、おそらくは大丈夫でありそうだが一応「桜奈って元気?」と聞いてみるが、からかうような目で顔を引きつらせながら「お前の彼女のことはお前が一番よく知ってるだろ」と返される。
そりゃそうだ。当たり前のこと過ぎて数秒前の自分を疑う。
「何かあったのか?」
「いや、何もないよ」
唖然とした顔で「なんだそりゃ」と言われるこの日常が尊い。
ひとまずは彼の顔には安堵と焦りがみられる。カラスも朝から鳴いているようだ。
―2020年11月2日8:09―
一秒でも早く教室に行き顔が見たい。
そう思いさっさと部活の片づけを終え、ひとりで教室に向かう。
開きっぱなしの扉をくぐり教室全体を見渡すがそこに彼女の姿はない。
『この日、この時間なのになぜいないのか』と頭は巡るが回答は出ない。肩を落とした姿は誰から見ても明らかだ。
…………
「おはよう」
後ろから聞こえてきたのは耳心地のよい声で、思わず後ろを振り向くけば「なんで?」という言葉が口から洩れていた。
頬を膨らませてぷくっとしながら「学校にいちゃダメなのかな?」と高圧的な態度をとってくる。「別にそういう意味で言ったわけじゃないよ」と弁解するも聞く耳を持ってもらえない。
それは傍から見ていたY.K.曰く「いつも通りの痴話げんかだね」だそうだ。
影二は弁明しているようだが顔がこんにゃくみたいであった。
影二は立てた仮説が確定のものであると確信し、今度こそはと息巻いている。本日が11月2日である以上、一週間でけりをつけなければならない。
彼は考え、知恵を絞りだし、一週間(考えたのは実質三日間)で出した解決策はお家デートなるものをすることであった……
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