7ー幸せー
―2020年11月3日5:57―
翌朝、目が覚めるとベッドに倒れこんでいる自分がいる。そして、周りを見渡せば懐かしい自分の部屋。
時刻は5:57。目覚ましは毎朝六時ちょっきりになるようセットしていたため少し早い。が、普段は山菜を獲りに行ったりして五時に起きていたのでそれよりは遅い朝。
夢の中でなぜか永遠にも感じたあの【現在】での行射のことを見ていた。そのことを思い出そうとするがほとんど覚えてはいない。
時間があり、昨晩風呂に入れなかったのでシャワーだけでも浴びる。それから朝の支度を済ませる。そして、背中に六文銭が入った部活のジャージに袖を通して家を出る。自転車をまたぎペダルを漕ぎだす。風がなく気持ちがよい。鼻歌を唄いながら進んでゆく。
吐く息は白く、その水蒸気は朝日に照らされて美しい。
どこにいても吐く息は同じはずなのに今日の息はとてもはかなく感じる。
昨晩は暗く、あたりが見えなかったので目に映るすべての事物、事象に懐かしさを覚える。コンビニ、スーパー、本屋とどれも実家にいたころによく買い物に来ていた店である。そんなお店の横を通って学校を目指す。信号待ちという動作一つとっても楽しい。彼の世界は開けていた。
このとき、影二は自分でも気づかないうちに目から涙がこぼれていた。そして、泣いていたということに本人は終始気づかなかった……
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