3ー静けさー

 ~数分後~

「大丈夫か?」

「ありがとう。落ち着いたよ。ごめんね、楽しみにしてたのに…」

「それはいいんだよ!今は桜奈が無事で何よりだよ。どうしたの?あっ、言いたくなきゃ言わなくてもいいよ」

「心配かけちゃったし話すよ。実はね影くんが…と考えてたら頭にはっきりとしたが映像ビジョン流れてきて、影くんが道路の真ん中でトラックに轢かれちゃったのが見えて。私、怖くなっちゃって……」

 再び少し青白くなり始めながらも話している。

 桜奈の見た映像では、降りしきる雨の中に横断歩道でぽつんと立っている俺がいたそうだ。そんな俺は驚いた様子でその場から離れることができないようであったそうだ。そして、そのまま突っ込んできたトラックに轢かれたらしい。

 唇が震えている。先ほどと似たような状況だ。

「ありがとう。ゆっくりして」

『確かに俺も桜奈が死ぬシーンが頭に流れてきたら嫌になるな』と考えていると、ゆっくりであるが回復しているのが目にわかり、一安心する。

「もう大丈夫!!行こう!折角のデートが無駄になっちゃう」

 突然の一声で影二は桜奈が強い女の子であったなということを強く思い出させられた瞬間であった。


 桜奈が元気を取り戻した。今では水を得た魚である。

 なので影二のデートプラン通りに午後はここから徒歩15分ほどにある劇場へ歩いて向かい、映画を見ることにする。だが、ショッピングセンターを出ると、強くはないが雨が降っていた。

「あー、雨降ってるじゃん。影くんどうしよっか?」

「ね、天気予報だと晴れだって言ってたのにね。傘ある?」

「もちろんあるよ!」

 影二は既にチケットを買っている。そのうえ、上田市は日本一の快晴率を誇る都市だ。そのため代案は実行するつもりもないし、そんなものなんて端から考えていなかった。いや、だからこそ、チケットをすでに買っていた。

 やはり影二は初だった。

 青と黒の傘が一つの生物のように町中を闊歩する。

 その後映画を鑑賞し、デートは難なく進む。だが、雨は強まる一方だ。。

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