第130話 味噌入りチーズリゾット【レシピあり】
「まずは下準備からしていこう。グリッドさんは、料理の経験は?」
「個人的に、嗜む程度でしたら……」
王城で料理に携わる面々は、一般的なメイドや執事とは別枠で雇われていたらしい。
人数も仕事量もけた違いなはずだし、何かあったら国が揺るぎかねないし、それぞれ専門分野に特化してるんだろうな。
でも、少しはやったことあるってことか。
「それなら野菜をお願いしていいかな。玉ねぎはみじん切り、マッシュルームはスライス、アスパラは4センチ幅くらいに」
「かしこまりました。では失礼して――」
多少荒くても炒めれば問題ない、くらいの気持ちでお任せしたのだが。
グリッドさんは、上着を脱ぎ腕まくりをして手を洗――ったかと思ったら、プロ顔負けの包丁さばきで野菜の下処理を進めていった。
アスパラも、ちゃんと端を切り落とし、下の方の皮を丁寧にむいて――――って、めちゃくちゃ手慣れてるな!? かっこいい!!!
「すごく手慣れてるね!?」
「恐縮です。お米の神様にお褒めいただけるとは、光栄の極みでございます」
「その呼び方は恥ずかしいからやめてほしいな!」
僕の言葉に、グリッドさんは「大変失礼いたしました」と謝罪しつつも、ふふっとおかしそうに笑った。
この人が醸し出す雰囲気、なんかすごく癒されるんだよな。
でもこの「お米の神様」って呼び名、地味に広まってないか?
度々聞くけどいったいどこから――。
「シャロとミアには、この鶏肉の処理をお願いしてもいい?」
「承知しました。雑炊のときのような感じでいいですか?」
「うん、そんな感じで!」
僕は下準備をしているみんなを横目に見ながら、まだ用意できていない食材とフライパンの準備をすることにした。
「旦那様、食材の下処理が終わりました」
「私たちもお肉切り終わりました!」
「ありがとう。じゃあ早速始めようか。――そうだ、量が多いし、半分はグリッドさんに作ってもらおうかな?」
「かしこまりました。ご指導のほど、よろしくお願いいたします」
どう考えても「嗜む程度」の域を超えているグリッドさんだが、お米を扱うのは初めてらしい。
そのため少し緊張しているようだが、その目は真剣そのもの。
シャロとミアも気になるのか、まだ空のフライパンをじっと見つめている。
「えっと、まずはオリーブオイルで玉ねぎを炒めます。ここで塩コショウを入れると、早く火が通るんだ」
僕は手順説明をしつつ、ボウルに入った玉ねぎを半量取ってグリッドさんへ渡す。
玉ねぎは焦げないように、しかししっかりと炒めるのがポイントとなる。
「玉ねぎに火が通ったら、鶏肉とマッシュルーム、アスパラを加えてさらに炒める。――で、火が通ったらここにお米を投入して、お米の一粒一粒に油がまわるようにこうやって――」
「リゾットというのは、お米を炒める料理なのですね」
「うん。洗わずに油で炒めてから煮込むことで、程よく芯が残って食感が良くなるんだ。お粥や雑炊みたいに、完全に柔らかくなってるのもおいしいけどね」
「勉強になります」
お米と具材を炒め合わせたら、水を加えてお米に火が通るまで煮込む。
ここでもお粥を作るとき同様、あまり混ぜずに待つのがおいしく作るコツだ。
お米がアルデンテ――やや芯が残るくらいになったら、ここに牛乳、チーズ、塩コショウ、それから隠し味の味噌を少し加えて――。
「――できたああああ! 鶏肉ときのこ、アスパラの味噌入りチーズリゾット!」
*****
☆【レシピ】鶏肉ときのこ、アスパラの味噌入りチーズリゾット(写真つき近況ノート)
https://kakuyomu.jp/users/bochi_neko/news/16818093081740354529
(大変遅くなってすみません><)
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