帝姫と偽り女装する皇子と男子と偽り男装する娘が織りなす後宮譚

皇子として生まれながら皇位継承争いからの保身の為、出生時より帝姫と偽り生きてきた女装少年(彼)が、家族と離れ独りで生きる処世術として女性では生きずらいと考え、男性のなりをしていた少女(彼女)と市井で出会い、皇子が帝姫として生かざる得ない現状の秘匿を条件に、彼女の生活保障として、彼の後宮内の宮に宦官としての任を与え、時に彼に代わり帝姫として振る舞い、後宮での陰謀事に巻き込まれる展開にハラハラしながら読み進めました。
特に、宦官に扮した彼女が、19歳設定でありながら初潮を迎える場面では、15歳設定の帝姫に初潮が訪れたとの誤報に、帝姫が皇子と知らない皇后や貴妃が帝姫の降嫁を勧める展開に、待ったや遅らせる術を画策するシーンから、彼女の降嫁問題への妙策に乗っかる所で完結を迎え、次作に繋げる焦らしに、待てを言われた犬の気分です。
作中、彼女を慕う宮女の偽装殺人や、実姉からの陰謀により不貞の顛末で実姉の自害に遭遇したりと、彼女の心境を想うといたたまれなくなりました。

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