第3話 こっちにおいで


 また、ふわふわぽかぽかの中。


 やっぱり夢の中で、王子さまが出てこないからかな。

 それで深優のほっぺにキスしないと起きないのかな。


 でも、今度はひとりじゃなかった。

 すぐそばで、だれかが泣いてる感じがするの。



 さびしいの?

 こわいの?

 悲しいの?

 こっちにおいで?



 深優が守ってあげる。

 ギュッてだっこしてあげる。


 お父さんとお母さんも、深優が悲しんでる時ね?

 いっつもギュッてしてくれるんだよ。

 

 深優も、お父さんとお母さんの笑った顔がみたいな。

 ギュッてしてほしいな。


 もうそろそろ、起こしてくれないかな。


 深優、お父さんとお母さん、大好きなんだ。



 

 お父さん、お母さん、今日もおつかれさま。


 お父さん、美優はわがまま言ったり困らせたりしないで、お母さんのおてつだいしてるから安心してね?


 おせんたくしたり、かわいた服をキレイにたたんだり、できるようになったんだ。


 だから、あわてないでゆっくり気をつけて帰ってきて?

 お母さんと深優で、待ってるから。

 また、肩たたきしてあげる。


 お母さん、フウフウくるしくなる前に言ってね?

 深優はお買い物もお料理も、もうできるんだから。


 だから、無理して笑わないで?

 困った時は、深優がいるから。

 

 深優は、お姉ちゃんになるんだから。

 そんけーされるお姉ちゃんにならないとね。

 

 おやすみなさい。

 お父さん、お母さん、大好き。



 

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