総統

 部屋の扉が破壊された。カオスファイヤーが入ってくる。


 旧藁兵オールドストローマンはそちらに視線を向けた。ズカズカと無遠慮にカオスファイヤーは部屋の中央に立ち入り、周囲を見渡している。

 カオスファイヤーは旧藁兵に気づくと、瞬時にレプリカブレードを振り上げ、一刀のもとにその首を斬り落とした。


 視覚が途切れる。久しぶりに自分の眼で物を見る時が来た。

 総統はその顔を旧藁兵の体外に出し、その瞳でカオスファイヤーを見つめる。


「痴れものが! 頭が高いわ。頭を下げよ。

 なんじが次の朕が肉体になるのだ。うやうやしくせよ」


 総統の声が響いた。だが、カオスファイヤーは呆けた様子で、まるで総統の言葉が耳に入っていない様子だ。

 嫌な予感がする。あの時もこうだったのだ。いや、まさか、こんな偶然が何度も……。


「ん? あれ、全然聞こえないけど、喋っているのか?

 ああ、なるほど。それなら俺が選ぶ道は一つしかない」


 総統の声が聞こえない代わりに、別の誰かと話しているように見える。

 一体、何が起きているんだ。総統である自分にわからないことがあるとは……。


 カオスファイヤーは変身を解き、藁兵+5ストローマンプラスごの姿に戻った。

 そして、腕についた武器を向けてくる。


 まさか、こんなことが――。

 総統は恐怖した。

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