私のために戦って
それはバージニアのノーフォーク基地で戦いが行われた時のことである。
カセイ参謀長はグレーが放った大技からゴリ将軍を庇い、倒れた。四肢はもげ、内臓がまろび出ている。
これは助からないな。自分でもそう思った。実に馬鹿馬鹿しい死に方だ。ライバル視していたゴリ将軍を庇って死ぬなど実に愚かしい。しかし、妙に清々しいものがあった。
この瞬間、確実にゴリ将軍の上を行くことができた。理屈に合わないかもしれないが、そんな実感がある。
天変地異を操るペンチ師団長とゴリ将軍の戦いは続いていた。その激しい攻防は、カセイ参謀長の倒れ込んでいる瓦礫を荒していく。カセイ参謀長の身体は瓦礫の中に沈んでいった。
まだ意識があるぞ。だというのに、もう土葬されてしまうのか。カセイ参謀長は自嘲気味に笑う。
そんな時だ。何者かがカセイ参謀長の身体を包んだ。
それは青色の身体に銀色の紋様が刻まれている。ブルーに似ているが、正反対のカラーだ。
「アビ教官です。あなたを助けに参りました。今、身体を修復しましょう」
アビ教官の身体から粒子のようなものが放出され、切り刻まれたカセイ参謀長の肉体を繋いでいく。血が止まり、傷が塞がっていった。アビ教官の肉体がプラズマに変換され、プラズマが再び肉に戻り、カセイ参謀長の肉体の代わりとなったのだ。
「まさか、助かるとはな。その力はまさか……」
カセイ参謀長が思案気に呟く。
「はい、ブルーの力を奪い、使用しています」
次の瞬間、アビ教官の力により、テレポートする。その場所は皇帝居城の一室のようだった。
目の前にはアイ、マイ、モコの御子たちががいる。それに気づくと、カセイ参謀長はうやうやしく頭を下げた。
「あははー、頭なんか下げなくていいんだよー」
「そうよ、私たちがあなたに来てほしかったんだから」
「カセイ参謀長、あなたに密命を申し渡します」
その言葉に、カセイ参謀長は訝しく思いながら、考えを巡らせる。
「私たちは謀反を起こす。総統を倒すのよ。あなたにも協力してもらう」
アビ教官の喋り方が変わっていた。上官に対する物言いとは思えない。
さらに、その内容も到底受け入れられるものではなかった。世界帝国を裏切るというのだろうか。あり得ない。
「私たちの進む道は茨の道です。ですが、カセイ参謀長、あたなもついて来てくれますよね」
アイの言葉がカセイ参謀長の脳を揺らす。その言葉には従うほかない。そう感じた。
「あなたは
もはや抵抗する気もない。御子のために戦うのだ。
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