最終章は巨大戦から

 黒い戦闘機が爆撃し、黒い巨人が光線を放つ。皇帝居城が攻撃を受けていた。さらに、黒い雄牛、獅子が迫り、その後を歯車のような機械が周囲を蹂躙しながらも皇帝居城に向かっている。世界帝国所有の戦闘機も砲塔も破壊し尽くされてしまった。絶望的な状況である。


「だが、ここまでは折り込み済みである」


 ゴリ将軍はその状況を受け入れた。そして、次の手に出る。

 各地で異海将校アウターマン藁兵ストローマンが巨大化していた。わざとその命を絶ち、巨大化を促したのだろう。

 本来のゴリ将軍であれば使わない手であろうが、今は追い詰められている。総統の声が頭の中に響き、彼を守らなくてはという強迫感に捉われていた。


 巨大化した異海将校アウターマン藁兵ストローマンがカオスレンジャーの巨大メカに攻撃を仕掛ける。単体では凌ぎきれなくなったのだろう。ブラックカオスレンジャーロボへと合体し、対抗し始めた。

 ブラックカオスレンジャーロボは巨大化藁兵ストローマンをバッタバッタと斬り伏せていき、巨大化異海将校アウターマンの能力に苦戦しながらも、結局は討ち果たしていく。とはいえ、巨大化異海将校アウターマンの集団に囲まれると、それも保てなくなった。

 何度も攻撃を喰らい、ブラックカオスレンジャーロボは傷ついていく。やがて、分離し、搭乗者たちは皇帝居城の中に散り散りに消えていった。ただ、カオスアビスだけは巨大化したまま、巨大化異海将校アウターマンたちに光線で牽制を続けている。


「居城に紛れ込みましたか。これは厄介になりましたな」


 ニンギョウ参謀長がゴリ将軍に声をかけた。一騎当千の暗殺者が紛れ込んだのと同等だ。厄介な事体ではある。だが、これも織り込み済みだ。


「シシ参謀総長、ニンギョウ参謀長、手はず通り、警備隊の指揮を頼む。私はこのまま巨大戦力を指揮し、カオスアビスを追い込もう」


 だが、ここで新たな戦力が現れる。カオスイレギュラーズだ。

 歯車型の機械に巨人と戦闘機、雄牛とライオン。それが合体し、カオスイレギュラーズロボとなる。百戦錬磨の巨大ロボだった。

 カオスイレギュラーズロボは形態を変えつつ、残った巨大化異能士官アウターマンたちを次々に沈めていく。

 このままでは巨大戦力のすべてが倒されるだろう。そうなると、カオスイレギュラーズロボの独壇場だ。


「やむを得ません。私が出ましょう。ゴリ将軍は警備隊の指揮を」


 そう言ったのはシシ参謀総長であった。シシ参謀総長はその鋭利な爪で自身の首を掻き落とす。その瞬間、巨大化反応が起きた。

 シシ参謀総長の身体が膨れ上がり、どんどんと巨大に変貌していく。それは苦痛を強いるものであったが、シシ参謀総長は気にしない。


「私が相手だ。これ以上は好きにさせん!」


 その雄叫びとともに、カオスイレギュラーズロボに組み付き、その首筋に噛みつく。こうなると、カオスイレギュラーズロボもできることは多くない。噛みつかれるままにしつつ、巨大化シシ参謀総長の首を絞め、互いに持久戦を狙った。

 やがて、シシ参謀総長の顔面が青くなり、その力を失う。同時に、カオスイレギュラーズロボもまた合体の引力を失い、バラバラとなった。


「貴様らの獅子奮迅の活躍、誰もが忘れまい。お前たちこそが最強だ」


 その言葉とともに、巨大化シシ参謀総長は爆散する。


 カオスレンジャー、カオスイレギュラーズ、両戦隊は散り散りとなった。この戦いはどのような局面へと移行するのだろうか。

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