迎え撃つもの
ゴリ将軍はカードをめくる。戦いの前の習慣となったワンカードオラクルだ。
現れたのは21番目のカード。
「確か、世界の暗示は完成、達成、確実な成功……でしたか。ふふふ、ゴリ将軍の勝利は約束されたものなのかもしれませんね」
その様子を眺めていたニンギョウ参謀長が声をかける。人形のような無機質な顔をしているが、それでもその口調からはほくそ笑んでいるのがわかった。
それに対し、ゴリ将軍は唸るようなため息をつく。
「その通りだ。だが、胸騒ぎがする。完成するものは一体何なんだ? 世界帝国にとって、それは良いものなのだろうか。我らが
いや、そんなことは口にするべきでないな。すまない、忘れてくれ」
ゴリ将軍は自分自身の悩みや迷いを言葉にしてしまったことに気づき、発言を撤回する。
「いえ、ゴリ将軍の深謀遠慮に気づけず、こちらこそ迂闊な発言でした」
ニンギョウ参謀長も自分の軽口に気づき、謝罪した。
反乱の相次ぐ世界帝国にあって、総統は自身の居城を守るために最大戦力を割いている。そのこと自体は間違っているとは思わないが、ほかのことを捨て置いているのもまた事実だ。そのことに嫌な予感がしてならなかった。
総統はそのことに考えがあるのだろうか。だが、ゴリ将軍は軍人である。上からの命令は絶対だ。そして、それ以上に総統の命令には逆らえないものを感じる。もはや、目の前の戦いに集中するほかない。
それにしても――。
ゴリ将軍の考えはタロットカードに及ぶ。世界のカードには
このタロットカードを描いた魔術師はこの状況を予知したのではないか。そんな風に感じてならなかった。
「ゴリ将軍、レーダーにカオスレンジャーの巨大メカの反応があったようです。来ますぞ」
そう発言したのはライオンの頭部を持つシシ参謀総長だ。
それを聞き、ゴリ将軍は立ち上がる。
「手はず通りに対処するぞ。何としても、総統を守るのだ」
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