Another.08 総統に成り上がるというお話
攻め込むもの
「いよいよ、なのか?」
周囲にはカオスレンジャーの面々が集まっている。決戦が近いとうことが、それだけでも判断できた。
「そうよ。拓磨、あなたは戦いに夢中になり過ぎて忘れていたかもしれないけど、私たちの本当の敵はカオスイレギュラーズなんかじゃない。総統よ。そうでしょ」
アビ教官の物言いにカチンとくるものはあるが、その言葉自体には頷かざるを得ない。
状況は
だが、それだけではない。圧倒的な力で支配されていた
これ以上の機会はもうないかもしれない。皮肉なことに、カオスイレギュラーズへの敗北が拓磨たちの本来の目的達成のために役立っているのだ。
「あはっ、私たちの動きはもう総統に勘づかれちゃってます。もう一刻の猶予もないですよ。できるだけ早く襲撃しちゃいましょう」
カオスシャインが発言する。
それは初耳の情報だった。彼女の言うことにどれだけの信憑性があるかわからないが、その懸念があるだけでもケツに火がつくような思いである。
「ならば、もう出るしかないな。しかし、こうなると先の戦いで巨大戦力を破損したのが痛い。万全の態勢で挑みたかったが……」
カオスキラーはカオスシャインの情報を素直に受け取ったようだ。今回の戦いに対して懸念を口にする。
そこへ、現れたものがあった。
「それならご心配なく。すべて修復が終わっています」
全身に針と数字の意匠が施された男。トケイ技官長であった。彼もこの計画に一枚噛んでいるということだろうか。
「ほう。お前ほどの男も味方についていたか。これは百万の兵士よりも強力な助っ人だな」
カオスキラーが感嘆とした声を上げる。トケイ技官長と顔見知りなのだろうか。
拓磨は試しに歯車の巨大メカを呼び出してみる。確かに完全に修復されていた。ほかの面々も巨大戦力を呼び出している。問題はなさそうだ。
「これで急に逃げ出されたりしゃなきゃ問題ないな」
釘を刺しておかないと。そう思い、拓磨は口にした。
だが、それに対して、アビ教官とカオスシャインは非難めいた眼差しを送ってくる。
「まだ、目的を理解していないのかしら。戦いに必要なのは機を見ることよ。つまらない場所で命を懸けるなんてバカのすること。覚えておきなさい」
なぜか拓磨が説教を喰らうことになる。釈然としないものがあった。
「あはっ、最終決戦ですよ。今回は失敗したら死ぬだけです。つまらない心配はしないでください」
カオスシャインも似たようなことを言う。だが、謀反に失敗したものの行く末なんて知れたもの。ここにいるのはそのリスクを承知しているものだけだ。
カオスシャドーは終始無言であるが、彼もまた同じなのだろう。自我のない機械兵なのかもしれないけれども。
ついに拓磨の――カオスレンジャーの決戦が始まる。
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