Another.07 新たな戦隊

ダークヒーロー集結

「変身!」


 彗佐せっさ拓磨たくまはアビ教官に促されるままに、ブレスレットを腕に嵌め、その機能を解放する。

 拓磨の全身を燃え上がるような炎が包んだ。熱い。全身が焼け焦げる。そして、炎は拓磨の身体を燃やし尽くすと、新たな体を彼に与えた。少なくとも、拓磨の感覚としてはそのように思える。

 真っ赤なスーツを身に包み、燃え上がるような第三の眼を宿した戦士が立っていた。藁兵+5ストローマンプラスごだった面影か、銀色のパーツも残されている。カオスファイヤー拓磨だ。


「ふふっ」


 その姿を見ると、アビ教官は満足げに笑う。だが、その直後にそっけなく拓磨を促した。


「見せたいものはそれだけじゃないの。ついてきなさい」


 先へ進むアビ教官についていこうとするが、歩くたびに全身が焼けるように熱い。さすがにただの移動がこれではつらかった。


「変身解除」


 藁兵+5の姿に戻り、アビ教官の後を追った。そして、連れられるまま、研究所の一室に入った。

 拓磨がカオスレッドの力を持つ戦士になったということは、ほかにも同様の戦士がいるのだろうか。そんな予感がある。

 果たして、そこには三人の戦士がいた。


 一人は黄色の戦士。全身にサイボーグのような機工を施された機械戦士と同じ能力を持つのだろうか。

 そのパーツのいくつかは黄金の輝きを持っている。


「あはっ、拓磨さん、初めまして。光の戦士カオスシャインです。期待してますよ、リーダー」


 イエローイレギュラーと同じように女性戦士のようだ。気さくさと丁寧さをあわせ持つ印象で、拓磨は好感を抱く。

 だが、スーツとヘルメットに覆われていて、彼女の容姿はわからない。拓磨と同様に藁兵ストローマンなのだろうか。


 続いて、黒の戦士。漆黒の鉄兜に防弾ジャケットを思わせる鎧を纏う。時渡りの剣士と同様の鎧兜ではあるが、鎧武者という印象のブラックに比べ、洗練された近代の兵士という出で立ちであった。漆黒のパーツが輝きを持ち、黒いマントを棚引かせている。


影の戦士カオスシャドーダ。ヨロシク頼ム――」


 機械音声であった。その佇まいも洗練されて隙がない。

 まさか、機械兵士だとでもいうのだろうか。


 そして、最後は灰色の戦士である。次元盗賊と比べ、その装甲は鋭利なパーツに置き換えられていた。触れるだけで怪我をしそうである。

 スーツの色合いはところどころ白が強い。


カオスイレギュラーズを打ち倒すものカオスキラーが私の名だ。戦隊を組むのか。私一人で十分のはずだがな」


 実に剣呑な殺気を放っていた。拓磨は呑まれかける。

 だが、赤の戦士の力を持たされたのだ。カオスキラーに対し、殺気を放ち返す。すると、感嘆した声が返ってきた。


「ほう。戦士の資質はあるようだ。では、リーダーとしてはどうかな。見届けさせてもらおう」


 剣呑な殺気はいつの間にか消えている。拓磨は密かに安堵した。

 だが、一人足りない。カオスイレギュラーズは五人だが、拓磨はそのうちの四人のパーツしか手に入れていないのだから、当然のことでもある。


「ブルーのパーツを得ることが必要になるか? それとも、腕利きの異能士官アウターマンを加えて、カオスイレギュラーズに対抗するのか?」


 拓磨がアビ教官に問いかけた。すると、アビ教官はうっすらと笑う。


「あら、言っていなかったかしら。ブルーのパーツならもう手に入れているのよ。以前、交戦した時にね」


 マレーバク師団長とともに日本中を眠らせた時か。拓磨には思い当たることがあった。確かにアビ教官はブルーと戦っていた。

 アビ教官は青いメガネのような仮面のようなものを取り出すと、顔に装着する。そして、口に出した。


「変身」


 その声とともにアビ教官を光が覆う。全身が青いスーツに覆われていた。ところどころに銀色の紋様が浮かんでいる。ブルーとは真逆だった。


深淵の戦士カオスアビス。私が五人目になる」

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