Another.04 夢見るままに待ちいたり
悪夢の破壊活動
「バフォッ、フォッフォッフォ。爆発だ、爆発だ!
芸術が爆発ならば、爆発もまた芸術! そうじゃあないか、拓磨くん?」
周囲には爆発音が轟いていた。
その様子を眺めながら、マレーバク師団長が高らかに笑っていた。半円のように綺麗に曲がった大鼻がそのたびにヒクヒクと動く。顔の両側についた小さな目からは狂気が宿っているように血走っていた。
その名の通り、マレーバクの
その隣には
銀色の鎧にはメタルレッドの装甲が追加されており、その機能も多種多様な改造が入っていた。何より、彼専用の特殊武器が与えられている。
「はあ……」
拓磨は返事に迷い、結局、気の抜けたような答え方をしてしまう。
だが、マレーバグ師団長はなぜかその答えに気をよくしたようで、再度大いに笑った。
「バフォッフォッフォッフォ。カセイ参謀長など馬鹿者だ! 所詮は相手の土俵で勝負するような男よ。奴が俺に優るものなど、年齢と労働日数くらいのものだ。もう少し
マレーバク師団長は笑みをこぼす。本来なら、上官の悪口などいうものではない。
だが、元来、マレーバク師団長はカセイ参謀長の部下ではなかった。ゴリ将軍の口添えによって、別の担当区域から派遣されてきたのだ。そのせいか、失敗続きのカセイ参謀長を侮る気持ちがあるのだろう。すでに勝利を得た気分で、カセイ参謀長をくさし、自らの優勢を誇っていた。
「カオスイレギュラーズは油断ならぬ相手です。こちらの予想もつかないような行動をとり、こちらの動きを看破してきますぜ」
しかし、散々にやられた経験のある拓磨はこの状況にあっても勝利を確信するなんてできない。チクリと苦言を呈する。
マレーバク師団長もその能力を買われて、苦境を撥ね除けるために呼ばれた男だ。その言葉に冷静さを取り戻す。
「バクバク」「バクバク」
小さなバクの姿をした生物がマレーバク師団長の手から生み出された。
「俺の分身、バクバクは人の夢に入り込んで夢を支配する。楽しい夢を見せることも悪夢に苛ませることも自在。夢の中に留めさせ、眠りの中に人々を閉じ込めることなど容易なことだ。
バクバクを日本中に放ってすでに24時間。眠らない人間など存在しない。もはや、この国は我が手で蹂躙されるまでよ。拓磨くんよ、一体どうやって、反撃できるというのだね。日本はすでに俺の土俵なのだ」
マレーバグ師団長の語る戦略は確かに完璧だ。何より、彼の持つ夢を支配する能力が強すぎる。当然、彼だけの成果ではなく、帝国軍のバックアップがあるからこその支配範囲ではあるのだが、それにしても恐ろしい。
しかし、それでもカオスイレギュラーズを封じられている気がしない。嫌な予感が止まらない。
突如、どこからともなく声が聞こえた。
「そのような能力があるのか。学習した。だが、私にそれは効果がない」
青白い光が空気中で収束していく。それは人の形を取り始めた。
銀色の肉体に青い紋様が光り輝く戦士。カオスイレギュラーズのブルーである。
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