作戦実行
――成果を上げなくては……!
拓磨は今回の進軍に奮い立っていた。手柄を上げ、異海将校への道を確保したい。褒賞を得て、新たな
高揚とともに、焦りが頭の中を支配してくる。いきり立つ感覚をどうにか抑えてながら、戦いの時を待った。
「くくくく、ついに作戦実行の時が来た。我らが力を示す時だ! この時、この一瞬、そして、この邂逅は一生に一度だ。皆の者、心を合わせよ! いざ出陣!」
今回の指揮を執るのは、
ヘビイチゴ師団長は
やがて、異次元への扉が開いた。灰色がかった時空の歪み。その歪みを通って、
転移した軍勢が
そこに五色の戦士が仁王立ちしている。レッド、ブルー、イエロー、ブラック、グレー。混成戦隊カオスイレギュラーズだ。
「な、なぜ、待ち受けている!? 我らの作戦を見通していたというのか!? それとも次元移動を感知する術があるのか?」
ヘビイチゴ師団長は本部への通信を意識し、自身の感じた疑問と考察を投げかける。自分の得た情報を最大限本国に伝えようとしているのだろう。
しかし、拓磨にはそんな無私の愛国意識などない。ただ、戦果を逸る気持ちだけがあった。
――今こそ、自分の最大火力の攻撃を当てるチャンスだ!
利き腕の
念動力砲に全身の意識を集中させた。念動力が全身に湧き立ち、砲撃に集中していくのを感じる。
――よし、撃てる。
そう感じた時だ。
――そうか、撃てるか。
頭の中で声がした。
そして、その瞬間、カオスイレギュラーズの一人、ブルーと目が合った。
――君がこの中で一番手強そうだ。最初に相手をしよう。
抑揚のない声が拓磨の頭に直接語りかけてくる。
「お前は何だ? 俺は……」
その呼びかけにパニックになりながらも、拓磨は吠えた。
「お、お前らを一掃してやる!」
念動力砲を放つエネルギーが溜まっている。それを一気に開放するのだ。
――君にそんなことはさせない。
頭の中で声が響く。
そして、その瞬間、ブルーの位置が変わった。テレポートだ。
拓磨の目前に現れたブルーは掌底を放つ。その掌底から光のエネルギーが解き放たれる。
「せいやっ!」
光のエネルギーは拓磨を貫いていた。拓磨は全身の骨が折れる感覚を味わう。全身が焼かれていた。
――お、おい、俺が最初にやられるのかよ……。
口惜しい結果だった。
腹部を貫通した光により、その生命活動さえままならぬはずだ。
――いや、俺は死ぬんだ。
意識が薄れていた。拓磨はそのまま全身の疲労と痛みとともに、昏睡の世界へと誘われていた。
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