最終話  ロイルの魔法使いだけど、賢者様を愛する俺

 俺は刀身を作るのに、かなり時間をかけたぜ。

 これから、神殿のご神体となるべき剣だからな。


 刀身が出来たら、村に戻って谷長や、ロブの指導の下で柄と鞘を作ったんだ。

 俺は、ゼナなんて花は見たことが無かった。

 そうしたら、エリサさんが昔の記憶だと言って、俺の夢の中にゼナで飾られてる祭壇みたいなものを見せてくれた。

 あれは、ロイルの神じゃないだろ・・・多分・・・


 ゼナの花は、夜に咲く大輪の花だ。

 彫るのも、描くのも難しくね!?


 星は、星石をあちこちに埋め込んで、後は、俺流に花を彫って、オルランドさんのイメージで金をちりばめといたぞ。

 製作開始から、一年で西域の守護剣、テセウスは完成した。


 谷長もロブも褒めてくれた。


 俺がサントスの神殿に出発するときに、何故かエリサさんもついて来た。


「何か、サントスで会議があるんスか?」


「神殿は基本、干渉しあったりはしないわ。それより、面白いものが見れるかもしれないじゃない?」


 エリサさんは、最高位の巫女となっても変わらない雰囲気だった。

 何か、含みのある笑い方をするんだ。


「?」


 やがて、賢者様の部屋に通された。

 五~六人の人が控えていた。

 此処には剣聖なんて位の人もいるのだとか?

 さすがに、西域一の神殿だぜ。


 中央の椅子にオルランドさんは居た。

 優しそうに微笑んでいる。

 懐かしい……オルランドさんだ~

 俺だけのために微笑んでくれている!!


「ついにやり遂げたのですね。リーン」


 リーンて呼んでくれた!!

 俺の理性はぶっ飛んだ!!


「オルランドさん、俺ロイル姓の魔法使いになったんですよ」


「知っていますよ」


「俺、ブチ込む方も上手くなりました」


「えと……?リーン!?」


 俺は、思い切りオルランドさんを押し倒したんだ。

 この時に、周囲が何故か結界に張られているのに気付いたのは、結界を張った本人と剣聖だけだったらしい。


 神官服って意外と簡単に脱がせるんだな。


「愛撫のテクも娼館で磨いたんです」


 俺は、オルランドさんを全裸にすると、(自主規制)を舐め上げ、全身に(自主規制)をしていった。

 俺は自分の(自主規制)をオルランドさんの(自主規制)に入れて腰を振った。

 オルランドさんは初めてなのか、顔を歪めていたよ。

 俺は今度は後ろから、(自主規制)を入れた。

 う~ん、気持ち良いなぁ~


 この辺りから、俺の記憶が曖昧になってきた。

 三回目の放出くらいまでは覚えてるんだけど……


 気が付いたら、俺は光の神殿の一室に寝かされていた。


「夢?」


 オリエ姉さんが入って来た。


「良く眠ってたわね。一年がかりでの剣の製作は大変だったのでしょうね」


「うん、あれ?エリサさんは?」


「タナトス・リーアとお呼びなさい。今は執務室にいられるわよ。」


「俺、テセウスをサントスに持って行ったよな~?」


「そうね。良い出来で、賢者様も満足したと聞いてるわ」


「俺、夢見てたのかなぁ~」


「何かやったの!?」


「オルランドさんに会えたのが嬉しくて、押し倒して、ヤリまくった!!」


 オリエ姉さん、俺の顔を見て困った顔をして言った。


「それは、夢よ!!あなたの願望が見せた夢だわ!!」


 それにしては、リアルな夢だなぁ。

 俺はオルランドさんの息遣いまで覚えてるんだぜ。


「それから、これは剣聖のアドゥブル・ミシェルの命令よ」


「何!?」


「あなたは今後、サントスには二度と足を踏み入れないこと。」


「なんで~夢でしょ?」


「夢でも、現実でも賢者様になんてことを思ってるの!!不敬罪で、死ぬまで奉仕なんてことになったら、あなたは可愛い子供の待つ家庭にも帰れなくなるのよ。勿論、ロイル姓は取り上げ、魔法鍛冶の仕事も取り消し。が良かったかしら?」


 俺は、我に返った。

 そうだ。俺には、妻がいた。娘もいた。

 友達の火竜が谷で待っている。


 後二振りの剣を作らなければならない。

 生涯で後、二振り。

 それも一振りはご神体の分身だ。

 当然次に作るのは、中央神殿に奉納するダイナスだよな。


 俺は、ベッドから出て、オリエ姉さんにエリサさんの執務室に案内してもらった。


「良い夢は、見れたかしら?」


「とんでもなく、リアルでしたけど!」


 なんて会話をしたんだ。


「デュール谷へ帰るのね、気を付けてね」


「はい、エリサさんもお達者で」


「ありがとう、面白いものが見れたわ。じゃあね」


 扉が閉じられた。

 途端、俺は青ざめたよ。

 エリサさん、なんて言った!?

 面白いものが見れたって言わなかったか!?

 夢……? 夢じゃないかもしれない!!


 俺は、達成感半分と絶望感半分で、谷へ帰って行った。




(完)



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はぐれ魔法使いだけど、大神官様に愛されてる俺 月杜円香 @erisax

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