第28話 6月17日 水曜日

 僕は昨日からあの白い封筒たちを家で保管している。

 今日の朝もやっぱり白い封筒が入っていて一通目と二通目と同じ三千五百二十円が入っていた。


 ベースアップ? でもないか。

 たまたま昨日の金額がすくなくなっただけ? なんだろうこの中途半端な増減は? 今日の夜から明日の朝にかけポストを見張ってみよう。

 僕は、また頭を悩ませたまま学校に向かう。


 見慣れた道を歩いていると六月の半ばなのに夏を先取りしたような風が吹いてきた。

 この北海道、独特な自然の匂いを嗅ぐと本当にそこまで夏が来ているように感じる。

 六月もあと半月で終わるし当然といえば当然か。

 

 でも北海道は油断できない。

 五月でも雪が降ることもあるし。

 突然の冷たい雨で季節が逆戻りなんてことはよくある話だ。

 季節でさえ一進一退、僕の現状と似ている気がした。



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