【3話 転がっているモノ】
春奈の体を空から注がれる朝の陽光が包み込んでいく。
そして、道路に足を踏み入れ、目を見開きながら顔をこわばらせる春奈。
(えっ、なにこれ、事故!? いや、事件!?)
周囲には動かなくなったアンドロイドが何体も倒れている。
更に、赤い体液を周囲にこぼしながら怪我をしている人間の姿もあった。
そして、春奈は顔を引きつらせながら周囲を見渡す。
(警察に知らせなきゃ! いや、流石にこんだけ大きな事なってたら、誰か通報してるかな? いやいや、もしわたしが最初の目撃者だったらそれじゃダメだ!)
首からぶら下がっているフォックレスに触れて、前方の宙に長方形の映像を映し出す。
だけど、フォックレスは沈黙を貫く。
(え、繋がらない!? 回線混雑してるだけ? それとも、わたしのフォックレスが壊れてるだけ?)
うろたえながら再び周囲を見渡し、
(うぅ、一体どうなってるの!?)
顔をしかめながら頭を抱える春奈。
(これって、みんなのこと、わたしが助けなきゃいけない感じだよね)
春奈は一番近くに倒れている人間に恐る恐る近づいていく。
「あのー、おケガは大丈夫ですか?」
倒れてる人間は無言を貫いた。
春奈は硬い笑みを浮かべ、
(大丈夫だよね? 人間の体は丈夫にできてるんだし)
ゆっくりと身をかがめた。
「警察を呼ぼうとしたんですけど繋がらなくって。あっ、救急に連絡とってなかった」
春奈は倒れてる相手に引きつった顔を向けながらフォックレスを触る。
しかし、反応は得られなかった。
「あれー、救急もダメだ」
眉尻を下げながら頭を掻く春奈。
(この人、一言もしゃべらないな)
そして、無表情のまま、倒れてる人間の首にゆっくり片手を伸ばしていく。
(まさか、ね)
春奈は相手の肌に手を当てる。
それから、目を見開きながら飛び退いて、尻を地面に打ち付けた。
(冷たいし脈もない!? えっ、えぇっ!?)
周囲を見渡して、他の倒れている人間に視線を移していく。
(まさか、みんな!? 噓でしょ!?)
その場に立ち上がり、他の倒れている人間に駆け寄り、相手の首に手を添えていった。
(そんな、なんで!? 一体何が起こっているの!?)
春奈はうろたえ、再び周囲を見渡していった。
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