第4話 カフェテラス
あの後、俺は一度シャワーを浴びてから、リビングで突っ立っている女神に最後の宝玉を渡した。
「これで全部揃ったんですよね?」
「ええ、そうです。これでリヴァイアサンの封印を阻止できます」
「!? どうい……ブッ!」
女神はいつの間にか剣を持っていて、それを俺の腹に突き刺していた。
俺は血を吐き、床に倒れる。
「フッ……フフ。ファーハッハハー!」
女神は口を歪ませ、大笑いした。すると、
『おい! るっせーぞ!』
隣から壁ドンと怒号が!
「あん?」
女神は壁を見つめ、ゆっくりと剣を掲げました。すると剣が強く光り輝きます。
「じゃかーしいのわ! そっちじゃボケェ! エクス・クワァリィヴァーーーー!」
剣を振り下げると光のビームが壁を破壊しました。
爆風で俺は吹き飛ばされ、反対側の壁に激突。女神の一撃は凄まじく、しばらくは土煙が視界を奪っていた。
そして土煙が消え、俺は驚いた。
なんと隣の壁のみならず、天井そしてその隣の部屋もまた吹き飛ばされていたのだ。
アパートを半壊した女神は笑いながら、空を飛びどこかへ行った。
そして俺は意識を失った。
目を覚ました時、自殺した友人が立っていた。
「ここは天国か?」
「いや、ここはお前のアパートの部屋だよ。まだお前は死んでいない」
「でも、お前は死んだだろ?」
「そうだ。自殺して死んだ。しかし、生前に世界中のチ◯カスを食ったせいか、チ◯ポセイドンの配下となった」
は? チ◯ポセイドン?
「へ、へえー出世したんだ」
「いや、配下といっても下だ。で、我が主からお前に伝言だ。『今からお前には偽女神とリヴァイアサンを倒してもらいたい』だとさ」
「どうして俺が?」
「騙されたとはいえ、偽女神のために宝玉を集め、そして渡しただろ?」
「断ったら?」
「死ぬまでインキンとEDの呪い与えると我が主は仰っている」
「そもそも倒すたってどうやって?」
「俺の槍を貸そう」
すると友人の股間が輝き始め、そして槍が現れた。それは三叉の槍で柄の下にある石突には丸い玉が横並びで2つ。普通は縦並びに連なるはず。それがどうして横並びに?
「さあ、この槍を使え」
友人は俺に槍を差し出す。受け取るとその三叉の槍は重かった。
「分かった」
俺は溜め息を吐き、しぶしぶ了承。
てか、本当に重い。
俺は待ち続けるのがしんどくなって、槍の柄を地面に当てる。
「グッ!」
すると友人は腰を屈んで地面へとうずくまった。
「どうした?」
「柄の下を……玉を……地面に強く当てるな。その槍は俺の分身だ」
ということはこの玉はこいつの……。
「キモッ!」
てか、なんで三叉? 火星人のくせに。
◯
「……という夢を見たの」
「クレイジー! てか、休日にいきなり呼び出しておいて何よそれ」
私は休日の朝にいきなり電話で、話したいことがあるのと友人に呼び出され、カフェで落ち合った。そしてクソ長い夢の話を聞かされたのだ。
友人はというと嬉々とした、まるで一仕事を終えたみたいな表情をしている。
「だって〜、すんごい大作でしょ? もう、こんなのって共有しなきゃって思うじゃん」
私は溜め息を吐いた。
「しかも男じゃん。性別まで変わってるし」
「主人公は私じゃないよ」
「じゃあ誰よ?」
「知らなーい」
「よく夢なんて覚えてられるわね」
「私、すぐに面白い夢はノートに書くの。でも途中から消えたりするのよね〜」
ということは途中からは創作?
友人はフォークでショートケーキを切る。そして切り分けたケーキをフォークで刺す。
「それでね。続きがあって〜」
「続きがあるの?」
そこで友人がフォークで刺したケーキに糞虫が止まる。
友人は私へと目を向けているので気づいていない。
そしてフォークは口へと運ばれ──。
ガリガリガリ。
私はこの瞬間、ある話を思い出した。
拳を相手の前に出し、その拳の上に顎を乗せてもらうという話。その時、相手がこっちに目を合わせたまま、拳に顎を乗せたなら相手はS。逆に拳を見て、顎を乗せたなら相手はMと。
「このケーキ、デカいナッツを挟んでいるのね」
「……そうね」
私はフォークに刺したケーキをちゃんと見て、口に入れる。
ドリーミー 赤城ハル @akagi-haru
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