第3話 月とミミズと鼻毛

 月に着くとミミズ星人から攻撃を受けた。

 ミミズ星人は名前の通り巨大なミミズで念力を使って攻撃をしてくる。水や火、雷撃などが俺を襲う。

 俺は反撃にと地球では使えない炭疽菌をばら撒いた。

 炭疽菌でミミズ星人は殺せなかったが、炭疽菌の影響か雌雄同体だったミミズ星人は雄と雌に別れた。そして雄と雌はいがみ合い、殺し合いを始めた。

 それのおかげかどうか、はっきりとは分からないが俺への攻撃は止んだ。

 俺はその隙にミミズ星人の王宮に向かい、門番に王様への謁見を求めると、意外なことに王様と謁見することができた。

「ポセイドンの宝玉が月に落ちたと思いますが、心当たりは?」

 俺は王様に問う。

 王様といっても王冠を被っているだけのミミズ星人で、もし王冠を外し、群れに隠れると判別が出来ないくらい見分けがつかない。

「ある。朕は兵を向かわせ、宝玉を取りに行かせた」

「で、宝玉は今どこに?」

「それは朕の体の中だ」

「じゃあ、死ねや!」

 俺はマシンガンで王様を蜂の巣にする。

「王よ!」、「なんてことを!」、「蛮族が!」

 王の側近達が怒り、俺を襲って来た。

 そいつらも俺はマシンガンでぐちゃぐちゃにする。

「ふう。こんなものか」

 玉座の間にいるミミズ星人を殺し終えて、俺は王様の死体から宝玉を取り出した。

 そこへ、

「な、なんてことを!」

 おや? まだ生き残りがいたのか。

 俺は声の方へ銃口を向ける。

「え?」

 なんとそこにいたのはミミズ星人ではなく、初老の女がいた。てか、俺の母親だった。

「母ちゃん。こんなとこで何してるの?」

「あんたには話していなかっけど、実はあんたはそこの王様の子供なのよ!」

「え? 何言ってるの? このクソミミズが俺の父親? ありえねーから」

「本当よ。私と王様の──」

「嘘だ! お前は偽物だ!」

 俺は母親の姿をする何かをマシンガンでぶち殺す。

 そして俺は逃げるように王宮を出て、一際大きい月のクレーターで膝を地面につける。

「嘘だ! 嘘だ! 嘘だ! そもそもあいつらは雌雄同体のはず」

 それにもし俺がミミズ星人の王の子なら念力が使えるはず。でも俺は念力が使えない。やっぱ嘘だ。そうだ。嘘なんだ。

 でも、俺は試しに念じてみることにした。

 俺は目を閉じて強く地球へ帰ることを望んだ。

 さあ、内なる念力よ。俺をどのようにして地球へ帰す?

 しばらくすると目の前の地面がぽっかり穴が開き、その穴は周囲を強く吸い込み始める。

「ぬわぁぁぁ!」

 足で踏ん張ろうとしたけど、足が宙に浮くや抵抗虚しく穴へと吸い込まれた。


 吸い込まれたと思った瞬間、俺は穴から飛び出していた。顔から地面に着地して痛い。

「ここは? 吐き出された?」

 それとも吸い込まれなかったとか?

 いや、月ではない。同じ鼠色でもこれはアスファルトだ。

 後ろを振り向くと犬のケツがある。

 もしかしてケツから吐き出されたというのか。

 俺をケツから出したであろう野良犬は何事もなかったように歩き始めた。

「まじで地球なのか?」

 見覚えのある道だ。本当に地球に……しかもアパートの近くにまで帰ってきたのか。

 とりあへず俺はアパートに戻り、シャワーを浴びようとした。すると洗面所で女神が鏡に顔を近づけ、鼻を豚鼻にして俺の鼻毛用ハサミで鼻毛を切っていた。


               

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