第3話「ピンボール」
先輩がピンボールゲームになって登場した。私は早速アプリをダウンロードしてそれを開いた。そのゲームはボールが先輩の顔になっていて、それをレバーで弾き返し点数を稼ぐというものだった。当たりに入ればゲーム内通貨と交換でき、集めると先輩の私物と交換できる。そして一万ポイントで先輩と一日デートできるらしい。
私は必死でポイントを稼いでいった。持ち玉(先輩)は百個で、毎日十個ずつ消費していく。ある日、ピンボールを遊んでいる私を見て先輩が笑った。熱心に遊んでくれて嬉しいというようなことを言っていた。
十日後、私は全ての玉(先輩)を使用し、九千ポイントを貯めた。一万ポイントには届かなかったが、先輩のシャーペンがもらえるらしい。でも目標はあくまでも一万ポイントだ。玉(先輩)をチャージしようとしたが、このゲームには新しい玉(先輩)のチャージのボタンはなかった。おかしいなと思いながら、大学に行くと先輩がマンションから飛び降り自殺をしたと聞かされた。
私はクリアできないないゲームを開く。何度、ゼロ点からリトライしても、ピンボールは絶対に一万ポイントには達しなかった。それでも私は熱心に繰り返す。そんなにデートしたいの、なんて言いながら、それを見た先輩が笑っているような気がした。
星をひと掬い【掌編小説集】 北原小五 @AONeKO_09
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。星をひと掬い【掌編小説集】の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます