朝焼けとエミリー

朝焼けはまるで世界の終わり、そして始まりのよう。

エミリーは赤く染まる空を見ながら、思いをはせる。

私が光に包み込まれたあの日から、もう300年以上経つ。

あの日、私はこの世界の「核」となり、

彼を生き返らせてほしいという私の願いは、

彼が「生まれ変わる」という形で実現された。

私は世界の核として、彼を生まれ変わらせることができた。

姿は変わってしまうけれど、その魂は同じ。

生まれ変わっても、私は彼が好きだった。

そして彼も、また私を好きになってくれた。

死んでしまっても、私は何度でも生まれ変わらせることができる。

彼が何度生まれ変わっても、私たちは愛し合った。

でも。

永遠に続くはずだった幸せを、私は壊してしまった。

どうしてあんなことをしてしまったのだろう。

嫌な記憶がエミリーの顔をゆがませる。

「うぅ、、、」

私のやったことは、私と彼だけの問題にとどまらなかった。

多くの人を傷つけ命を奪い、不幸を招いた。


そしてようやく、私が招いた不幸を終わらせる時が来た。

待っててみんな。きっとまた幸せな世界にするから。

決意を固めた目で、遠くを見つめる。

視線の遥か先にいるであろう1人の男に話しかけるようにエミリーは言った。

「もうすぐ会えるね、レンタ」

この世界の核は、今日も1人の人間のように、生きていく。

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えみりー 伊藤春輝 @harupeusu

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