幼馴染み

 幼馴染みがメスガキに堕ちたら。



 俺――マサトとミキは幼稚園からの幼馴染みだ。


「あたし、おとなになったらマサトのお嫁さんになる!」

「ほんと!?」


 甘酸っぱい思い出だ。年齢を重ねるにつれその約束は風化していった。


「コウキ君の方がマサトよりカッコいい」


 小学生の頃、親づてにこれを聞かされた俺はショックだった。親も親だ。何の嫌がらせだよ。


 とにかく、俺もそれ以来ミキのことは忘れるよう意識した。


 そして中学二年生になり、俺はクラスメイトのユキに告白し、無事OKをもらえた。初の彼女、嬉し過ぎた。


――だが、それによりミキがメスガキ化した。



「雑魚マサトじゃユキに釣り合わないよ、みんなも言ってる」

「ほっとけ! なんなんだよお前は!!」


 メスガキ化したミキはやたら俺につっかかってくるようになった。



「ユキさ、サッカー部のトウヤ君のことカッコいいって言ってたよ? ウケるw マサトとはエライ違いだもん、しょーがないよね」

「マサトさぁ、もうキスした? え? まだしてない? 相変わらずザッコw こりゃ、ユキが可哀想だわ」

「まだ別れてないんだ、往生際ワル。どうせすぐ別れるんだから、傷が浅い今のうちに別れときな?」


 エスカレートするミキの罵倒についに俺もプッツンした。


「恋人もいないミキに言われたくねぇよ!!」


 俺がマジギレするとは思わなかったのだろう。ミキは涙目になって逆ギレした。


「マサトのバカ! バカバカバーカっ!!」


 そんな語彙力低下した罵倒を放つと、ミキは走り去って行った。



 それからミキは俺に近付いてこなくなり、俺は清々するとは思いながらも、ミキのことが気になって仕方なくなっていた。


 デート中の俺が上の空なのを見て、ユキが言う。


「マサト君の好きな子ってさ……ミキちゃんだよね?」

「!?」


 俺はとっさに言葉が出なかった。最低だと自己嫌悪する。そんな俺の煮え切らない態度を見て、ユキがポツリとつぶやく。


「やっぱり敵わないなぁ……幼馴染みってズルいよ」


 子どもだった俺には、気のきいた返しが思い付かなかった。そしてユキとはお互いに気まずくなり、そう遠くないうちに自然消滅した。


――そして数ヶ月後。



「やっぱマサトにはあたしがいないとダメね♪ そんなんだから次の彼女も出来ないのよ。仕方無いからあたしが面倒見たげるわ」

「はいはい。どうせ俺はダメですよっと」


 すっかり元気になったメスガキ幼馴染みが、昔以上に俺の側から離れなくなるのだった。

 

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ひたすらメスガキにわからされる話 黄昏のy @tasogarenoy

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