幼馴染み
幼馴染みがメスガキに堕ちたら。
◆
俺――マサトとミキは幼稚園からの幼馴染みだ。
「あたし、おとなになったらマサトのお嫁さんになる!」
「ほんと!?」
甘酸っぱい思い出だ。年齢を重ねるにつれその約束は風化していった。
「コウキ君の方がマサトよりカッコいい」
小学生の頃、親づてにこれを聞かされた俺はショックだった。親も親だ。何の嫌がらせだよ。
とにかく、俺もそれ以来ミキのことは忘れるよう意識した。
そして中学二年生になり、俺はクラスメイトのユキに告白し、無事OKをもらえた。初の彼女、嬉し過ぎた。
――だが、それによりミキがメスガキ化した。
◆
「雑魚マサトじゃユキに釣り合わないよ、みんなも言ってる」
「ほっとけ! なんなんだよお前は!!」
メスガキ化したミキはやたら俺につっかかってくるようになった。
「ユキさ、サッカー部のトウヤ君のことカッコいいって言ってたよ? ウケるw マサトとはエライ違いだもん、しょーがないよね」
「マサトさぁ、もうキスした? え? まだしてない? 相変わらずザッコw こりゃ、ユキが可哀想だわ」
「まだ別れてないんだ、往生際ワル。どうせすぐ別れるんだから、傷が浅い今のうちに別れときな?」
エスカレートするミキの罵倒についに俺もプッツンした。
「恋人もいないミキに言われたくねぇよ!!」
俺がマジギレするとは思わなかったのだろう。ミキは涙目になって逆ギレした。
「マサトのバカ! バカバカバーカっ!!」
そんな語彙力低下した罵倒を放つと、ミキは走り去って行った。
それからミキは俺に近付いてこなくなり、俺は清々するとは思いながらも、ミキのことが気になって仕方なくなっていた。
デート中の俺が上の空なのを見て、ユキが言う。
「マサト君の好きな子ってさ……ミキちゃんだよね?」
「!?」
俺はとっさに言葉が出なかった。最低だと自己嫌悪する。そんな俺の煮え切らない態度を見て、ユキがポツリとつぶやく。
「やっぱり敵わないなぁ……幼馴染みってズルいよ」
子どもだった俺には、気のきいた返しが思い付かなかった。そしてユキとはお互いに気まずくなり、そう遠くないうちに自然消滅した。
◆
――そして数ヶ月後。
「やっぱマサトにはあたしがいないとダメね♪ そんなんだから次の彼女も出来ないのよ。仕方無いからあたしが面倒見たげるわ」
「はいはい。どうせ俺はダメですよっと」
すっかり元気になったメスガキ幼馴染みが、昔以上に俺の側から離れなくなるのだった。
ひたすらメスガキにわからされる話 黄昏のy @tasogarenoy
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