メスガキ船長

 メスガキ王に俺はなる!


 すまん、言ってみたかっただけだ。



「とりかじいっぱい! ヨーソロー!!」

「「「アイアイサーッ!!」」」


 メスガキ船長の合図に従い、俺達男衆は昔ながらの船にたくさん取り付けられたオール――ってか、櫓?――を力いっぱいこぐ。


 だが、船は思うように方向転換できない。


「なんだなんだぁ!? そんなんで精一杯かぁ!? それでも○玉ついてんのかぁ!?」

「「「アイアイサーッ!!」」」


 上半身裸の男達から汗がほとばしる。メスガキ船長はムチを取り出すと、手でパンパン鳴らしながら俺達の仕事振りを確認しにきた。


 そして、息を切らして遅れている男に歩みより、メスガキ船長は当然のようにムチをふるった。


 バチン!

「あふん!♪」


「ははっ! まだまだ余裕じゃねぇか! オラ! 雑魚が! 気合いを注入してやる!!」


 バチンバチンバチン!

「ありがとうございます! ありがとうございます!」


 ムチで打たれ続ける男は涙ながらに歓喜した。


 ブラックだけどアットホームな職場です。


 離職率は異常に低い。

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