第83話 13-2.


 門から畑ン中ぁ突っ切っても2kmは歩くぞい、と心配してくれる運転手に、万札2枚を押し付けて釣りも領収証も結構です、ありがとうございましたと言って車から降り立って初めて、陽介は、自分が高崎家の玄関に回ってアマンダと出会い頭に再会してしまうことを嫌っているのだと理解した。

 既に農園到着の10分以上前から道は舗装ではなく、元来た道を遠ざかるタクシーの巻き上げる砂煙が、まるでミハランでアマンダとファースト・コンタクトを果たした時の情景と重なって、陽介は思わず苦笑を浮かべた。

 2kmをゆっくり歩けば、たぶん30分近くはかかるだろう。

 心を落ち着けるには、それくらいの時間は必要だ。

 そう自分に言い聞かせて、陽介は改めて門柱を見上げた。

『国連世界食糧農業機関・国連防衛機構・地球防衛艦隊支援実験施設:関係者以外許可なく立ち入ることを厳禁します:外務省/UNDA駐日代表部/UNDASN駐日武官事務所/山梨県警察本部』

 御大層な名称がずらずらと書かれたUNブルーの強化プラスティック板と並んでぶら下げられた、『高崎農園:正門』と墨で書かれた達筆の木札が妙にアンバランスだ。

 一歩門の中に足を踏み入れると、高さ2mくらいの、低木が植えられた土手が左右に続いている。

 花は落ちていたが、ツツジかサツキであろうことは、植物に詳しくない陽介にも容易に想像できた。この花道も、おそらくはここが観光農園時代の名物となっていたのかもしれない。

「よし」

 自分で自分に許可を出し、土手に挟まれた間道をゆっくりと歩き始める。

 時刻は1054時ヒトマルゴーヨン、影の向きから判断してここは北側斜面のようだ。

 道は西へ回りこむように続いているらしい。

 ひまわりが、太陽に向かって咲くことくらいは、知識として陽介も知っている。

 と言うことは、ここからは見えないひまわり畑は、この丘陵を回り込んだ南側に広がっているのだろう。

 そこへ行けば、アマンダがいる筈だ。

 本当に、いれば、だが。

 未だにそんな気弱なことを考えている自分に対して苦笑を贈り、陽介はゆっくりと歩を進めた。

 歩き始めたはいいけれど、未だに判っていないのがもどかしかった。

 逢って、自分がアマンダに何を言いたいのか、何を聞きたいのか、未だに判らないままだった。

 四季の問いも、瑛花の言葉の意味も、判らないままだった。

 アマンダの起こした、あの夜の行動の意味。

 アマンダが、自身をひまわりに重ねて、その上で何を求めているのか。

 何も、判らない。

 ただ、今この瞬間、自分がアマンダに逢いたいと思っていること。

 アマンダを求めて、遥々とこの高原に辿り着いたこと。

 それだけは、自分の意思であること。

 今の陽介が確実に判っているのは、それだけだった。


「はっ……、はっ……、あ……」

 暑い。

 そう言ったつもりだったが、それは言葉にはならなかった。

 歩き始めて、30分は優に経った。

 第1種軍装の上着は歩き始めて5分で脱いだ。帽子は10分。ネクタイはタクシーを降りた瞬間から緩めている。シャツの袖まくりは15分。

 上着を抱えた左手さえ、熱い。

 こんなに鈍っていたのかと、陽介は我事ながら愕然となる。

 いや、いや。

 考えてみれば、俺は昨年の夏まで宇宙にいたんだぞ。高温多湿、悪名高い日本の夏なんて一体何年ぶりだ? 

 いや、地球の夏自体久し振りだ、なにせ本星勤務は一尉の2年目に防衛大学へ1年間通っただけ、しかも学舎キャンパスはコペンハーゲン校だった。

 30分もかからない筈だったこの徒歩行で、落ち着いて考えるつもりだったアマンダへの言葉も想いも、とっくの昔に汗とともに蒸発してしまった。

「いったい俺は、はっ……、はっ……、なに、はっ……、やってんだ、はっ……、はっ……、か……」

 よろめきながらつつじの土手を抜けた途端、陽介の口から絶え間なく、呪詛の如く漏れ出ていた言葉は、突然、止んだ。

 荒かった息遣いすら、唐突に止まった。

 いや。

 耳に届く全て、音という音が消え去った気がした。

 それほど物凄い衝撃が、陽介を襲ったのだ。

 しかしその衝撃は、一切の物理的なパワーを伴わない、静かな衝撃だった。

「この衝撃を、俺は、知っている」

 砂漠の星、ミハラン。

 視界の全てをモノクロームに染め上げる、静謐な地獄。

 だが、今彼を襲ったのは、性質的に同じ『衝撃』ではあっても、その衝撃が齎す効果は、全く正反対だった。

 それは、鮮やかな、眼が痛くなるほどの、原色の世界。

 どこまでも蒼く高い天空の底は、見渡す限りの鮮やかな黄色で染められていた。

 その底を撫でるように吹き抜ける高原の風が、黄金の漣をたてて奔る。

 波の合間に見えるのは、深い緑。

 たった3色で構成された『静かな衝撃』は、しかし確実に陽介の動きを、思考を、いや、彼の心臓の鼓動さえ、一瞬止めた。

 たった3色の世界。

 だが、その単純な配色は、陽介がこれまでに見た何よりも、深く、強烈で、そして優しい風景だった。

 生き物のようにうねる、黄金色の海。

 立っていると、足元をその波に掬われそうな気がして、そして、一度ひとたび波に乗ると、どこまでもたゆたいながら、むこうの『入り江』まで運ばれていきそうな感覚に襲われて、陽介は思わず、手にした上着と制帽を足元に落としてしまった。

「……ここに、アマンダが、いるというのか? 」

 本当に、いるのか?

 この、原色の海に?

 陽介は、首をゆっくりと廻らせる。

 見渡す限りのベタ塗りのような蒼空、その足元まで続くかとも思える黄色の海、立つ黄金の漣が風の渡る道を可視化していく。

 自分が今立っているこの大地は、本当に地球だろうか? 

 ミハランでないのは確かだ、しかしこれは俺の知らぬどこかの惑星の『黄色い』静謐な地獄ではないのか? 

 だが、ミハランと違い、ここには溢れる陽光がある。

 黒色矮星化寸前の巨大な老太陽に覆われた、滅びの匂いさえ漂うあの星とは違う。

 そうだ。

 ここには、喜びがある。

 『生きている』ことが純粋に嬉しいと思える、単純な『喜び』が。

 それは、それだけは、確かなことのように思えた。

 そしてアマンダは、この黄金の海のどこかで、今この瞬間の俺と同じように、溢れる陽光を、吹き渡る風を、そして生きる喜びを、満喫しているに違いない。

 それもまた、確かなことに思え、陽介は再び首を廻らせる。

 今度こそ彼女を、この眼で捉えたくて。

 この風景の中の彼女を、この眼で捉えたくて。

 この黄金の海で微笑む彼女を、この眼で捉えたくて。 

 この高原、この蒼天の下、風の渡る黄金色の海原で、彼女が、アマンダが突き抜けるような笑顔を浮かべていることは、もう間違いのない事実なのだ、陽介の中では。

 とにかく逢いたい、その想いだけで導かれたこの地に、笑みを浮かべて立つ彼女を、この眼で捉えたくて。

 ……そうだったのか。

 そして陽介は、ひとつの答えを、得た。

 陽介は自分が、つい数日前までは全く知らなかったこの高原を訪れた理由のひとつに、思い至る。

 俺は、アマンダに、ただ『逢いたかった』だけなのだ。

 あの夜の事件の真相、あの日見たシチュエーションの真実、あの夜アマンダが魅せた夢のような光景の意味、彼女の瞳に浮かぶSOSへの応え、そんな諸々よりも何よりも。

 俺は唯、アマンダに、逢いたかった、それだけなのだ、と。

 胸の中で渦巻いていた霧が晴れていく、爽やかな感覚に思わず目を細めた、瞬間。

 アマンダを求めて廻らせていた陽介の首が、その動きを止めた。

 胸の内の霧が晴れたからなのか、急激に広がった視界の中、陽介は求めていたそれを、捉えた。

 刹那、消え去っていた全ての音のうち、たったひとつだけが彼の耳に戻ってきた。

 それは、彼が、数日前から失っていた、音。

 それは、彼が、もう一度取り戻したいと切望していた、音。

 アマンダの、笑う声。

 楽しそうに、笑う声。


 彼女は、確かにそこにいた。

 どこまでも続くかと思われるその丘陵、汗に塗れた彼の肌に限りなく優しく感じられる夏の風が、鮮やかな黄金の漣の足跡を残して駆け抜けてゆく、黄色と深緑の原色の海の真ん中に。

 彼女は、確かに笑っていた。

 成層圏まで突き抜けるかのような蒼空の高い位置、目も眩む程輝く太陽に真っ直ぐその美しい顔を向け、何万本、何十万本もの大輪のひまわりを従えて、確かに、笑っていた。

 けっしてオフィスでは見せることのない、心の底から沸き上がったような、一杯の笑顔で。

 この国では、嫌でも目立つ褐色の彼女の肌は~健康的な輝きを放つ肌理細やかな『それ』は、ひとめ見て日焼けとは違う、まるで野生の黒豹にも似た、気高い美しさを感じさせる、初めて出逢った時からそう感じていたことを不意に思い出した~、陽光を一杯に受けて一層美しく煌き、周囲を鮮やかなハレーションで彩り、黄金の海の中、一際鮮やかに、艶やかに、まるで彼女の周囲を埋め尽くすひまわりの群れを臣下として従える『ひまわりの女王』のようにも見せているのだった。

 艶のある豊かな黒髪を後ろで束ねて被る粗末な麦藁帽でさえ、女王に相応しいティアラの煌きを放ち、額に輝く汗が眩しい陽光を活き活きと跳ね返し、それはまるで彼女の美しさと気高さを際立たせるスパンコールにも見える。

 そう。

 実際、今彼の眼に映る彼女は、普段都会の夜の闇に静かに佇み、黒い瞳を冷たく輝かせる『黒豹』などではなく、世界中のどの花よりも鮮やかに咲き誇る、大輪の『褐色のひまわり』だった。

 それは、周囲のどのひまわりよりも気高く、美しく、そして華々しく。

 そして周囲の全てのひまわりは、その種族に面々と受け継がれる『太陽に向かって花開く』と言うDNA情報などかなぐり捨てて、ひまわりの女王たる彼女に倣うかのように、ひまわりの女王の名に相応しい彼女を讃え、太陽に向かって誇らしげに、そして美しい彼女に見惚れ、微笑んでいるかのように思えた。

 その意味では、この見渡す限りのひまわり畑~この瞬間初めて、漢字で『向日葵』と書くこの花の和名が如何にぴったりか、心の底から納得した~の中で、彼女こそが、唯一絶対の神聖さえ勝ち得た、本当のひまわりの花のように思えた。

 彼女の胸に抱かれた数本のひまわりは、まるで彼女の祝福を受けている『臣民』のようにさえ思える。

 まるでその姿は、昔見た古い宗教画に描かれた聖母像とも重なり、彼はさっきまでの疲労に歪んでいた表情など嘘だったかのように、知らぬうちに微笑を浮かべていた。

「間違い、ない」

 間違っては、いなかったのだ。

 俺は、この女性に逢いたかったんだ。

 俺は、こんな素晴らしいひとを見失っていたんだ。

 あの夜から、この瞬間まで、俺は見失ってしまっていたのだ。

 俺は馬鹿だ、大馬鹿野郎だと無意識に呟く彼の表情を第三者が傍から見れば、彼がここ数日思い悩んできたあれこれなど微塵も感じ取れないだろう。

 きっとあのひまわりの女王なら、今の俺を見てこう言うだろう、彼はぼんやりと思った。

『だらしのねえツラ、してんじゃねえ。気味悪ぃや』


 いったいどれくらいの間、そうしていただろうか。

 たった数分だったかもしれないし、数時間も経過していたかもしれない。

 陽介にとっての思い掛けない『至福の時』は、『女王』の行動によって、あっけなく終わった。

 1km程向こう、下半身が隠れる程の背丈のひまわりに囲まれていた彼女の顔が、なんの前触れもなくこちらを向いたのだ。

 周囲の煌く黄金色の波に呑み込まれそうな中、視線があったかどうか、彼女が自分を認めたのか否かも判然とし難い。

 手でも振ろうか、と頭の片隅で小さくなっていた冷静な『もうひとりの自分』の思考が命令を手に届けるよりも早く、彼女は黄金色の海に『ダイヴ』した。

 ザバンッ、と水音が立ったかと思うほど、それは見事なダイビングだった。

 立っていたときは腰までだったひまわりの群れの筈が、あっと言う間に180cmほどもある彼女の姿をすっぽりと覆い隠す。

 脚立か何かの上にでもいたのかな? いや、どれだけ背が高いんだあのひまわりの花は。

 どうでもよさげなことをぼんやり考えていると、吹き渡る風が残していく漣とは別に、自分の立っている方へ、一筋の『ウェーキ』が向かってくるのに気付いた。

 ああ、アマンダが『潜って』るんだ。

 その現象をそうと明確に認識した頃には、黄金色の『海面』は、こちらに向けての登り勾配となり、ウェーキは視界から消える。

 と、まもなく、今度は『がさがさ』という『波切り音』が耳に届いてきた。

 陽介は、気付いた。

「……俺、ワクワクしてる」

 もうすぐだ。

 もう少しで、アマンダと逢える。

 この黄金色の海面の下、深緑の『海中』を潜って、アマンダは今、俺のいる『浜辺』へ『泳ぎ着こう』としているのだ。

 そう考えるだけで、もう胸の高鳴りが抑え切れない。

 ここへ来るまで、何を訊ねよう、何を話そう、何をどうすればいいのだろうと、思い悩んできたあれこれがまるで悪い冗談だったかのように、今の陽介の心は、まるで遠足を明日に控えた小学生にも似て、待ち侘びた再会に心を震わせていた。

 頭の片隅で、冷静なもうひとりの自分が囁いた。

『気をつけろ。ヤツは、必ず、予想の斜め上を行く』


 刹那、徐々に大きくなっていた『波切り音』がいきなり、とまった。

「え? 」

 思わず疑問と不審の念が声になった数瞬の後、『なにか』が足元の『黄金色の波打ち際』から、まるで弾丸のような鋭さと素早さで飛び出してきた。

「う」

 わっ! という声は遂に陽介の口からは発せられることはなかった。

 その飛び出してきた『なにか』は、ものも言わずに陽介の首に腕を回し、遮二無二彼の身体へ自重を預けてきたから。

 余程疲れていたのか、最初のタックルで陽介の足はふらつき、思わず後退さって石か何かに躓き、無様に尻餅をついてしまう。

 尻の鈍い痛みを堪えながらも、既に陽介にはその『なにか』の正体が判っていた。

 やはり、『ヤツ』は『予想の斜め上』に来たのだ。

「陽介、陽介、陽介陽介陽介陽介陽介陽介陽介陽介陽介陽介陽介っ、陽介ぇっ! 」

 陽介は、麦藁帽子のてっぺんを、軽くリズムを取るように、ぽん、ぽん、と叩いて、漸く一言、言った。

 言うことが、出来たのだった。

「よう、ご同業。久し振りだな」

 よくよく考えれば、再会した最初の一言に、これほど相応しい言葉はないな、と陽介は納得することができた。

 陽介の挨拶を聞いてか、アマンダは地べたにぺたりと尻を落としてしまっていた彼の膝の上に座り込み、漸く上半身を離して、両眼を細め~普段の、鋭く据わった半眼ではなく、優しさと溢れさせて、だ~、満面の笑顔を浮かべてうん、うん、と数度頷いて見せ、彼の汗まみれの顔を、土くれの付いたままの掌でぺたぺたと辺り構わず触りながら、吐息混じりに呟いた。

「うわぁ……。ほんとだよ。夢じゃねえよ……。ほんとにホントの、陽介だぁ」

 微かな違和感を覚えつつ、それでも陽介は久し振りの~よく考えれば1週間も経っていないのだが~アマンダの香りを堪能し、しかし照れも混じって少し不機嫌そうに答えた。

「ああ、ホンモノだ。……邪魔だったか? 」

「そんな訳ねえだろっ! 」

 口を尖らせてアマンダはそう言うと、すぐに柔らかく微笑んで、両手を彼の肩に置き、ゆっくりと小首を傾げて言葉を継いだ。

「ほんっと、嬉しいよ。陽介。……逢いたかったよ? 」

 違和感の正体はこれだ、と陽介は思った。

 リアクションが、違う。

 飛び付かれた時から感じていた、小さな違和感。

 その、正体。

 あの『面倒臭い』アマンダではない。

 こんなに素直で、手間要らずな彼女など、想像すらしたことがなかった。

 が、そう考えた直ぐ後から、陽介は自分を責める。

 俺が彼女をどうこう言える訳がないじゃないか。

 俺は、彼女を判ることが出来ずに、手掛かりが、答えが欲しくて、彼女を探していたのではないのか。

 これまでだって、そうだった。

 いつだって俺は、初めて出逢うようなアマンダに、驚き、感激し、愉しんですらいたではないか。

 だったら、今は、俺も素直に愉しもう。

 何故なら、俺は彼女に逢いたかったのだから。

 だって、どれほど見事に『予想を裏切る』彼女であろうと、そう、アマンダは『今日もこんなに』素敵じゃないか。

 だって、アマンダはこんなに、『予想の遥か斜め上を行く』素敵な女性じゃないか。

 アマンダは彼の膝の上で、くるりと上半身を捻り、黄金の海に向かって手を伸ばした。

「アタシはね、陽介。この子達のいるこの場所で、一度でいいからさ? アンタと逢いたい、そう思ってたんだ……」

 白いデニムのシャツ、ストーンウォッシュのブルージーンズのオーバーオールに麦藁帽子を被った『ひまわりの女王』は。

 それはそれは誇らしげに、彼女の率いる『臣民』を、陽介に紹介してくれたのだった。


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