第36話

 ゲームでは王太子は公爵領へ進駐する国軍を率いない。


 たとえ淫乱で浮気し、国に背き敵国に通じたとはいえ、かつての自らの婚約者であり、また所詮、女であるということもあってか、エリザベト捕縛ほばくの軍を率いはしない。あくまで、その一線は守る。自らは、あくまで王都に留まるのだ。


 王太子自ら、そんなことには手を汚さぬということであろう。王太子は完璧であればあるほど、ヒロイン=プレイヤーに好まれるということであろう。それが乙女ゲームの望む理想的な王太子像ということであろう。


 私の作戦はまさにそこを突く。国軍を迂回する軍を発して、一気に王都を制圧、王太子以下、全王族を捕らえる。


 それを率いるのは、お二人と私。


 同時にアンドラーシュには自ら軍を率いて、父上の援軍に赴いてもらう。そして国軍から公爵領を守ってもらう。

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