第4話
私は自室に戻った。ここで目が覚めるのが一番いい。乙女ゲームでは、悪役令嬢は決まって断罪される。実際エリザベトもそうであった。
王太子という婚約者がありながら、その婚約者の親友たち――あくまで、『たち』である。つまり一人ではない――と逢い引きを繰り返し、最期にはそれがバレて、婚約破棄を告げられる。
そこで怒り心頭に発したエリザベトは、敵国の皇子と密通する。そして公爵領が両国の国境沿いにあることをいいことに、そこに敵軍を導き入れ、そのまま王府に攻め上らせ、母国を滅ぼす計画を立てる。当然その目的は王太子とそれを献身的に支えるヒロイン、召し使い上がりの素朴な娘リリーを殺すことであった。
ただ実行前に計画がバレてしまい、王太子に先手を打たれてしまう。国軍が公爵領に進駐し、敵国との国境は封鎖される。そして捕えられたエリザベトはギロチンにて処刑されるのであった。
冗談じゃない。
まさにここが
といって、どうやれば目が覚めるのか分からない。
手をつねってみる。
覚めない。
もっと強く。
(イッタイんだけど)
というだけで、覚めない。
しょうがない。
覚めるのを待つことにする。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます