第21回🐔公募チャレンジの反省会『共感覚・凍りついたら』

 復活の息抜き駄文。脊髄反射で書き散らすクソドリエッセイの時間だ。

 あ、読まなくていいよ。あまり面白い事は書いていない。


 八軒が書きたいから書いている、読み手の事をあまり考えていないエッセイである。えーと、前は何やってたんだっけ? そうそう。公募チャレンジをしようとしていたのだった。


 ◆電撃大賞『時が凍りついたら』反省会


 まず結果報告から

 4月10日締め切りの第30回電撃大賞――――応募


 世界が凍りついたから異世界に逃げ込もうと思う。〜天才科学者による並行異世界、同時最速救済プラン〜

 https://kakuyomu.jp/works/16817330651611387789


 というノーテンプレの異世界転移ものを書こうとしていた。


 だが、打ち切った。PVが振るわなかったのもある。日程的にまったく間に合わなくなったのも大きい。


 物語のプロットはまとまっていた。主人公であるフミナが2人のヒロインの協力を得ながら、滅びゆく異世界をそこに残された古代遺跡を起動し、救い、それと同時に時の凍った地球も同時に救うという映画チックな物語だった。その中で、第一ヒロインとの濃厚かつ直接的なラブロマンス、とサブヒロインの魔女との、じれじれな関係を描きつつ、すべてが解決したために地球に帰還するために別れ。そしてエピローグでの再会まで、自分には珍しくプロットが割と決まっていたのだった。


 だがなにかが違う。今書くべきはこれじゃない

 という気持ちが強く手が止まった。

 

 八軒は、分析屋さんだと思われる事が多いが(創作仲間からそう言ってもらえることが何度かあった)自分では超感覚派であると思う。


 取っ掛かりとして切り口は分析するが、これでいいなと思ったら完全に感覚派に切り替わる。


 書き始めるまで、その物語がどうなるかわかっていない。一応プロットはたてるが、細部は完全に書きながら勝手に降ってくる感じとなる。この後どうなるの? と言われても「わからん!」と答えるしかない。


 八軒の小説として、『時が凍りついたら』は非常に『らしい』と思う。

 代表作であるエドガーよりもよっぽど『らしい』

 けれど、『今じゃない』


 理由は不明だけれど、本当に何か感じたんだと思う。

 もしくは締め切りが近かった後述する『共感覚令嬢』を書くべきだと思ったのか。


 結論、打ち切った。

 その前に、一度しっかりと書いてみたかった、ラブシーンを書いてみた。

 ラノベベースで規約に引っ掛からない範囲で、どれだけ想定読者男性がドキドキできるか。表現として自分は書けるのか? 書いてみて満足した。ヒロインのえちちでありながら可愛さを表現しきったと思う。今の段階では。


 書きながら思うのだけれど、どうも自分は表現厨である。


 なので、昨今のなろう系小説の傾向である、表現や、描写を省いたものは自分では書けないと思う。どうしても会話ベースで進められない。


 長々と描写したい訳では無いのだけど、短くても、読者にぶっ刺さる雰囲気を構築するのが好きなのだ。という事はやはり、この『時が凍りついたら』を諦めた理由は、『共感覚令嬢』を書きたくなったから。が妥当な理由だろう。



 ◆賢いヒロインコンテスト『共感覚令嬢』


 カクヨムの中編コンテスト 賢いヒロイン


 共感覚令嬢。人の想いが花に見えた私は、貴族社会が嫌になる。

 https://kakuyomu.jp/works/16817330654605130783


 雰囲気づくり+表現厨としてゴキゲンに書けたのがこちらの作である。

 こちらはちゃんと締め切りに間に合い42600文字で提出する事が出来た。


 元々は短編である

 https://kakuyomu.jp/works/16817330649772650255

 を膨らませたものである。


 今作はミステリ風味の異世界恋愛ものとした。

 イメージは、今度アニメ化する名作『薬屋のひとりごと』の令嬢バージョン。

 他人の心が花の映像を伴って見える主人公が、他人の恋をにまつわる謎を解いていくゆるミステリである。


 カテゴリは恋愛とした。感覚派の八軒には、本格的なミステリなんて書けない。


 この話で気を付けた事は、主人公はあくまで傍観者然とした立ち位置で、なおかつ冷めた目を持っている事。あとはヒロインだからといってキャピりすぎない事。


 男性作家が、女性主人公を書くにあたってやりがちなのが「作者(男性)から見た好ましい女性」を書いてしまうという事だと思う。同じ場合は良い。『能力は平均値で~』などは、主人公たちがきゃぴきゃぴしているのを可愛いなぁとニヤニヤ眺める作品だ。


 だが、今作はである。男性が望む女性像というのは、往々にして、というかほぼ確実に、実存女性諸氏の内部イメージとは大きく乖離する。その差は埋めたいと思っても埋めれるものではないと思う。


 女性読者が読んで、拒否感が出ずに、すんなりと自己投影できる、なおかつ賢いヒロイン。これが必要だと思った。


 賢いというのは大いに有用である。自己投影する対象が賢い=優位というのは非常に気持ちいい。なおかつ『心が(ある程度)読める』という圧倒的な精神アドバンテージがある。だがそれを大ぴらに出してはいけない。あくまで謙虚に、嫌味がなく。


 よって短編版では、貴族貴族していた主人公の造形をごっそりと変えた。生粋の貴族令嬢から、元平民の庶子とし、名前も簡素なものに変える。短編版の名前はシルフィーヌ・ド・ラベンタリアという。超豪勢。


 またまわりに、頼ってくるメンバーを配置する。


 母違いではあるが懐いている子供っぽい妹。

 没干渉のわりに、仕事では主人公を頼っている何を考えて居るのか分からない父親。


 ヒーローである、ベルクント君が一番割を喰っている。

 溺愛もののヒーロー像は、ハイスぺが主流だが、彼は今回割と残念系になっている。しょっちゅう動揺しているし、ヘタレ化しているし、鈍感かつ、女心を少しも解さないというキャラになってしまった。


 だがまぁ、この作品に関しては正解である。

 なにせ、主人公の恋は主題ではない。

 主人公の恋を描くと避けられないのが、であると思う。


 相手役との関係が変化すれば、心情も変化する。心情が変化すれば、ずっと平静ではいられまい。恋の前では誰しもが賢くはいられない。


 それが八軒の見解である。


 だが、今作はヒロインなのだ。

 主人公が恋をするのはご法度と言えた。


 大前提として、今作でやりたかったのは、『家政婦は見た』である。


 最近の若い方は知らないと思うが故・市原悦子主演の大ヒット昼ドラである。

 主人公である、派遣家政婦のおばちゃんである市原悦子がそれぞれのご家庭の闇を見てしまい「あらまぁ……!」というのが面白いドラマだった。


 主人公が垣間見る、貴族の社交界にある心の移り変わりとトラブル。

 それを描きたかった。


 ◆そもそものアイデア


 主人公の能力「花知らせ」フラワー・ビジョンだが、これの発想は、花言葉を小説に生かしたいという意見をWeb上で見たことである。


 花言葉――。

 あまりにも色々な意味があり、多くの解釈がある。だけれど花に意味があるというのは面白いなと思った。


 また、少女漫画には、キャラが登場するシーンには必ずといって花が添えられる。

 そういう表現技法なのだと思う。そのキャラに対応する花のイメージを漫画家がチョイスするのだろうか……。


 ならば、小説でも、物理的に花を背負わせてみればいいのでは? 

 さらに、その花に意味を持たせれば――。そう花言葉で考えていることが分ればよい。内容は解釈が多様にあるから、多少強引でもOKとした。


 さらには、異世界が部隊なので、欲しい意味の花が無い場合は、その世界のオリジナルの花を出せばよい。ラストに出てきたリベラント・ラベンタリアあなたの側に、もう少しだけは架空の花である。


 長くなってきた。後半に続く。

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