第38話 事件の後、そして日常
デスフラワーが壊滅した後……
フラワーの施設の子達は、元に戻ったグラスと一緒に皆んなでお祝いパーティーを開催した。そして、パーティーが終わった後……
「バイバーイ!」
「さよなら!楽しかったよ!」
「はいはい、いつまでもいい子でいてね。悪い魔物になったら即叩っ切りに行くからね〜」
チームレオの冒険者達に見守られながら、グラスの力とチームレオの助けにより施設の魔物は皆んな元の世界に帰っていった。
因みに無理矢理デスフラワーに連れてこられた魔物達は既に羊屋の力で帰還済みだ。
魔物全員を送り終えたグラスとフーラ、そして残った元デスフラワーの仲間は再びフラワーを結成し、地球で困っている魔物達を助ける活動を再開した。
そんなフラワーの構成員の中には何と、かつてフラワーを襲った冒険者の姿が。
リーダーが「罪を償いたい」との事で、自らフラワーに頭を下げて入団を希望したらしい。勿論、その際にリーダーがかつてフラワーにしでかした罪も白状した。
フーラは嫌な顔をしたが、グラスは
「……分かった、君も反省してるなら僕は許すよ。それに、君がフラワーに入ってくれたら百人力だしね、頼もしいよ」
と、かつてリーダーが行った罪を許した上でフラワーに迎え入れたのだった。その際にリーダーの仲間達もフラワーの仲間に加わり、フラワーの団員として困る魔物を助ける活動をしているらしい。
そして羊屋可留、つまり私の組織では……
「私も羊屋の仲間に加わる」
人間態に戻った星屑垣さんは私達のアジトにやって来て、私の仲間になる意思を表明した。
「羊屋には散々世話になった。恩を返すという意味合いも込めて、お前達の仲間に加わりたい。後、他にも羊屋の仲間になりたい元デスフラワーの仲間も連れて来た」
そう言って垣はアジトに2人ほど仲間を連れて来た。1人はウィンディーネの女の子、もう1人は地獄からやって来た鬼だった。
「ウチ、とにかくこの星で楽しいことがしたくて……」
「僕、地獄から初めてこの国にやって来たんだけど、良いアルバイトが中々見つからなくて困ってて……」
勿論私は垣さん達を喜んで迎え入れ、彼ら3人は新たに作り上げた『怪人科』に入れる事にした。
『怪人科』とは、この星に住む冒険者達がレベル上げに飽きないよう新たに『架空の悪の組織』を作り出し、『大事件は起こさないがそこそこ迷惑な怪人』を作ってはその辺にばら撒く仕事をする所だ。
因みに初期に集まった私達は『ダンジョン科』として、これまで通りダンジョンの運営を担当する事とした。
そして、これからは仕事をこなしてくれた人には『給料』としてコインを支給する事にした。
このコインは、アジト内に新たに出来た高級レストランやワンランク上の道具売り場など、様々な施設で使用可能だ。勿論今まで無料で使えた施設は無料のまま使用可能だ。
更に望むなら、コインを現金に換える事も出来る。この現金は、地球に呼んだ仲間の魔物『ロロー』に動画配信で稼がせたものだ。
『ロロー』が稼いだ現金は本人が望む別の道具に変えている。ロローはその手に入った珍しい道具を母星に持ち帰って換金し、大金を手に入れて中々に良い思いをしているようだ。
そして、学校では……
「カルちゃんおはよー!」
「トトさん、おはようございます」
相変わらず人見知りが抜けない私は、それでも何とか学校に通っていた。だが、出会った仲間のお陰で最初の頃よりだいぶ人には慣れて来たと思う。
「ねぇねぇカルちゃん、今日の帰りにちょっと寄り道しない?ハンバーガーの割引券が丁度二枚あってさ〜」
「えっ?寄り道ですか……?はい!是非行ってみたいです!」
いつも元気に挨拶し、私と会話してくれるトトさん。
「あっ……おはよ……」
「あっ、士野足さんおはようございます」
私相手には緊張してしまうらしいが、それでも優しく接してくれる士野足さん。
「おはよう、羊屋さんは相変わらず可愛いね!」
「うわっ江里牧先輩!?何で此処に!?」
「羊屋さんの愛らしい姿を一目見たいから、遠回りして来たんだ」
可愛いもの大好きで、私にも相変わらずな態度で接して来る江里牧先輩。そして……
「おはよう!!!!」
「みんなおはよう!」
新たに星屑兄妹も私に接してくれるようになった。
「あの時の仲間が大集合してるじゃん!ねえ、もしかして皆んな何処か悪者退治にでも行くの?私も連れてって!」
相変わらず元気いっぱいで力を持て余している星屑気楽さん。
「羊屋!昨日よりも背が10センチは伸びたんじゃないか!?育ち盛りは羨ましいな!!」
「そんな伸びてないです!」
この謎のハイテンション高身長お兄さんは星屑垣さん。奴隷から解放されて何もかも元に戻った垣さんは、昼間はずっとこんな感じになってしまった。
星空の見えない昼間はあまり好きではないのでごく普通人間として過ごすと本人は言っていた。人間の時の自分はあまり素行が良くないとは聞いていたが……
「いいな……私ももう少し身長を伸ばせれば木之下先輩が持つ『電柱』のあだ名を襲名出来たのにな……」
「兄貴、これ以上身長伸ばす気?」
「別に他の人からあだ名貰わなくても、自分で勝手に名乗れば良くね?」
まさかここまで性格が変わるとは思わなかった。かつてグラス魔王を倒そうとしていた時の彼とは完全に別人だった。
少し変わっていて、それでいて私に接してくれる皆んなの存在は私にとって本当に有り難かった。
(学校はまだ緊張するけど、みんなのお陰ですごく楽しいかも……)
とても個性的な群れの中、そんな事をぼんやりと考えながら、私は今日も元気に学校へと登校していったのだった。
群れに馴染めない羊屋さん @takenomatu
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