第3話
どのくらい時間が経っただろうか。その後ベッドに乗ったり、這いつくばったりして部屋の隅から隅まで調べたが何もなかった。出れるかもしれないという希望は、どうしようもない絶望感と無力感を深めるだけで、何の役にもたってはくれなかった。絶望感につぶされそうになり、このまま死んでしまうのだろうかなどと考えていると。音がした。
カシャン......
切れ込みの方からだった。そちらを見てみると床に何か茶色いものが落ちていた。
(誰かきた......!)
急いで向かっていき大声で叫ぶ。しかし、相変わらず何の音もせず気配も感じられなかった。
「くそっ!」ガンッ!!
苛立ちと不安と怒りで壁を蹴り飛ばすが当然何も起こらない。
(そういえば、、、、)
床に落ちたものを拾い上げてみると封筒だった。
(なんだこれ、、、)
中を見てみると青い紙が見える。手の上に出してみると、紙ではなく絹のようで絹よりも滑らかな手触りだった。手の上において眺めていると、突然その青い何かが手に吸い込まれるようにして消えた。
「、、、、は?」
あまりの衝撃に思考が停止する。手を触ったり振ったりしてもあるのはいつもの自分の手だけ。
バンッ!バンッ!
床に手を叩きつける。
バンッ!バンッ!バンッ!バンッ!
「はあ、、、はあ、、、」
絶望的だ。
床に座り込み、虚空を見つめていると、突然外から轟音が鳴り響いた。地震が起きたかと思うほどの轟音に耳をふさぎうずくまってしまった。時間にすると数秒の出来事だったはずだが、あまりの衝撃に永遠とも思えるような苦痛を味わった。
何とか体を起こし、辺りを見渡すが異常はない、、、、いや、あった。
____扉が開いていた。
人間というものは不思議なもので、あれほどこの部屋から出ることを願っていたはずなのに、今ではこの何もない部屋に安心感すら覚えている。ぽっかりと空いた扉の前に立ち部屋を振り返ってみるが、なんの感情も湧いてこない。あれほど絶叫し、絶望し、暴れまわったというのに。
(俺はおかしくなってしまったのだろうか、、、。)
もう一度扉に向き直る。外も真っ白だ。少し首を出してみるが上も下も左も右も真っ白だ。
不思議と恐怖心はない。真っ白な世界へと足を踏み出した。
紺碧の戴冠 @parli
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