第2話あのひとはどうかしてる!?
「断られないように発した単語が予想以上に効いてしまいました。傷口を抉るようなことだとは……軽率な言動を許してください。ごめんなさい……」
「あ、いやぁ……俺こそ、取り乱して悪かった。もう良いから……頭を上げて、妹さん」
しおらしく先ほどの行為に対して、深々と頭を下げて謝罪する嘉谷の妹。
彼女に対して、接し方が掴めずにぎこちない返答になる。
俺の正面に置かれたダイニングチェアに腰掛ける彼女は、数分前の態度とはかけ離れたしおらしい態度を見せている。
「あ、ありがとう、ございます……」
「うん……それで、住まわせてほしいっていうのは——」
「智夜ねぇと喧嘩して……そのときにヒサにぃならって言っちゃって……それで智夜ねぇに、『だったらひーくんの子になんなさいっ!』って言われて……家出して、ヒサにぃのとこに」
「はあ……い、イエデねぇ。家出……家出って
「ううん、お母さん知ってる。送ってもらった、お母さんに」
「えっ?それって家出ってことには……」
家出では、なかった……
それにマンションの住所は智夜に、嘉谷一家には知らせてもない。
誰が、この住所を突き止めたんだ?
「えっと、あのさ……
「えっと、ご近所さんから仕入れたって」
彼女はオレンジジュースを飲むのを止めて、返答した。ガラスのコップをダイニングテーブルに置かずに、両手で持ち上げたままに。
「そう……」
俺は、
「おにぃさん……お願いします、私を養ってくださいっ」
「やっ、養うッッ!?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます