第2話あのひとはどうかしてる!?

「断られないように発した単語が予想以上に効いてしまいました。傷口を抉るようなことだとは……軽率な言動を許してください。ごめんなさい……」

「あ、いやぁ……俺こそ、取り乱して悪かった。もう良いから……頭を上げて、妹さん」

しおらしく先ほどの行為に対して、深々と頭を下げて謝罪する嘉谷の妹。

彼女に対して、接し方が掴めずにぎこちない返答になる。

俺の正面に置かれたダイニングチェアに腰掛ける彼女は、数分前の態度とはかけ離れたしおらしい態度を見せている。

「あ、ありがとう、ございます……」

「うん……それで、住まわせてほしいっていうのは——」

「智夜ねぇと喧嘩して……そのときにヒサにぃならって言っちゃって……それで智夜ねぇに、『だったらひーくんの子になんなさいっ!』って言われて……家出して、ヒサにぃのとこに」

「はあ……い、イエデねぇ。家出……家出って嘉谷母親ひとが血まなこになって捜索してるんじゃッ!」

「ううん、お母さん知ってる。送ってもらった、お母さんに」

「えっ?それって家出ってことには……」

家出では、なかった……

それにマンションの住所は智夜に、嘉谷一家には知らせてもない。

誰が、この住所を突き止めたんだ?

「えっと、あのさ……嘉谷母親ひとがここの住所を知ってるのはなんでかな?」

「えっと、ご近所さんから仕入れたって」

彼女はオレンジジュースを飲むのを止めて、返答した。ガラスのコップをダイニングテーブルに置かずに、両手で持ち上げたままに。

「そう……」

俺は、嘉谷母親ひとにも気に入られていた。


「おにぃさん……お願いします、私を養ってくださいっ」

「やっ、養うッッ!?」


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