「特別」「個性」の前に「常識」を持とう

隅田 天美

「武器」を扱うには力と技能がいる。そのための鍛錬

 ここ、『カクヨム』ではあまり見かけないが、別の投稿サイトだと最悪文字の羅列だけの、台本とも言えない文章を見かけることがある。

 多くは二次作品。

 つまり、作者は「この設定は分かっているよね」という前提で書くので、その作品を知っていればある程度は分かる。

 ただし、知らなければ「?」である。


 昨今の教育は「個性」「特別」を重要視する。

 最悪になると知的障碍者でさえ下手な絵画や版画を無理やり褒めて「特別扱いが当然」とするのだから始末に悪い。


 確かに平成中期までの「受験最優先」「勉強過密時代」は異常ではあったが、逆に言えば社会に出た時の「理不尽さ」を身につけたラスト世代である。


 小説を書くとき、書いた人物の個性が出る。

 それを内輪で読む程度ならいいが、このように公の場で書く場合はいくつか守らなければならないルールなどがある。


 ある人物が言った。

「お前らの様な文学オタクが小説をつまらなくした」


 確かに古今東西において読みにくい小説や随筆エッセーはあっただろう。

 でも、実際に読めば、それらが、例え古典であっても今に通じる面白さや哲学があるのに気が付くだろう。


 もちろん、今の様な一瞬を金換算する時代よりかなり面倒ではある。

 その代わり、自分が愛する作家になるとドツボにハマる。


 日本刀にしても拳銃にしても重さがある。

 下手に扱えば、文字通り小説や漫画の真似をすれば大けがをする。

 だから、鍛錬をする。

 最初は上手くいかない。

 でも、諦めないでコツコツ続ければ時間はかかっても何かを得られる。

 誰も褒めてくれないかもしれないが、それがあなたの武器になる。


 何も人から貧者の真似事をして日本を一周したところで単に近所に出かける程度のものを日本全国に広げたに過ぎない。

――本当の賢者と言うものは家にいながら世界を知る。

 この言葉はネットもニュースも新聞さえなかった中国の故事の言葉だ。


『人生は冒険である』とある親子は事あるごとに言うが、それは冒険ごっこであり、それこそバスコダガマやコロンブスのように命がけの冒険とは規模も目的も全く違うし失礼な話だ。

 冒険であるのなら、せめて、常識を学べ。

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