第2話 ことの始まり(2)

新田新。

どこにでもいる、目立たない…というか何かと面倒臭そうなので目立ちたくない、一介の一般男子高校生である。

それなのに今僕は講堂、しかも全校生徒の前で立ち尽くしている。

横にはニッコリ威圧笑顔の生徒会長———西園寺宙。

どうしてこんなことになったのか。

それは数時間前に遡る。


「やあ!みんな突然呼んだのに、来てくれてありがとう!」


生徒会室にて。

無理矢理引っ張っていかれた僕は、今まさに、数人の生徒会メンバーの前に立たされ、まさに新メンバーとして紹介される瞬間である。

ちなみに、彼が言う「突然呼んだのに」は、実質強制呼び出しのことを指している。

生徒会メンバーが彼の言葉に従わないことは、実質死に値する…らしい。


「この子は新田新くん!生徒会副会長になってくれる人だよ!」


うんうん、下っ端の使いっ走り…って…はい?


「今、副会長とおっしゃいましたか?」

「言ったねぇ」

「嘘ですよね?」

「嘘じゃないよ。ちょうど副会長の席が空いたんだよね〜」

「ちょうどって宙くんその言い方はまるで…」


そうだ。この「思い立ったら猪突猛進!バーサーカー生徒会長」に振り回された挙句、嫌気が差して学校を転校して行ったに違いない。

どうやら僕は、絶対に逃げられない猛獣の檻に足を突っ込んでしまったようだ。


(このお人好し!流されやすさ選手権チャンピョン…!!)


僕は内心、大絶叫しながら頭を抱えた。

というか、なぜ目の前の生徒会メンバーは小動物の戯れを見るような優しい目で僕と宙くんを見ているのでしょうか…しかも無言で…

返事をしないのを肯定と捉えたのか、西園寺宙は至極満足そうに「うんうん」と首を振った。


「そうと決まれば、全校生徒の前で紹介しなくちゃね!生徒会のメンバーは後でちゃんと紹介するとして…ついてきて、新くん!」


こうして僕の平穏ほのぼの日陰学園ライフは、西園寺宙のニッコリ威圧笑顔にかき消されてしまったのだった。

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【日々短編】S高校の生徒会は普通ではありません! 或る書生Yの備忘録 @shimotsuki_akito

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