第13話『おみ足本番』
「こんばんながねむー」
【うおおおおおおおおお】
【踏まれたい】
【ドSなしろちゃんが見れるってマジですか?】
【待って、この位置って】
おみ足ASMRと銘打たれた配信。
そこには、私と志を同じくした人たち、もといドМの皆さんが配信を観にやってきていた。
配信前から踏まれたい、という意思を感じるコメントが多々送られてきていた。
おみ足ASMRなんて聞いたら、大抵の人は踏んでもらえると思うからね、仕方ないね。
「君は今、私の太腿に挟まれてます。わかるかな?」
女性らしい柔らかさのある太腿が、両耳をがっちりと挟み込む。
肉で覆われた耳の中で、ごそごそという音が響いた。
そんなはずがないというのに、彼女の足から温度が伝わってきたような気さえする。
【うわあ、包まれてる】
【温かい】
【ふう】
【賢者がいて草】
「今ね、私下半身はショーツ一枚ですね。上着は来てますけど、ちょっと寒いんだけどね」
【おいおいおいおいおいおい】
【エッチすぎないか?】
うん、今はしろさんは服を上半身しか着ていない。
流石に下着こそ脱いでいないが、それはそれでドスケベである。
直接見てはいないけど、多分だけど、今日は白な気がするね。
まあ、ただの勘だが。
この後、タイツを履いたりもするんだけど、今は綺麗な素足をさらしている状態なわけだ。
「じゃあ、まずは膝枕で耳かきをしていこうか」
しろさんは、そういって私の体勢を変え、正座をした状態の彼女の太腿の上にのせる。
まるでクッションにうずもれるように、私の頭はすっぽりとしろさんの白い足に収まってしまう。
視界がしろさんの体と逆の方を向いているので、しろさんの様子は見えない。
「ふうーっ」
『んんんんんんんんんんんんんんっ!』
いきなり、息を右耳に吹き込まれる。しまった、また声が出てしまった。
しまった、太腿に意識を集中させすぎていて、警戒を怠ってしまった。
ないはずの心臓がバクバクと鼓動する。
耳ふーなんて、もう何回もやってもらっているはずだけど、どういうわけか
しろさんは、いつも通りの梵天を取り出して私の右耳に入れていく。
かり、かり、と音が鳴る。
膝に置くことで不安定になっているからだろうか。
心なしかいつも以上に、手つきが優しいような気がする。
「おかゆいところはありませんか?気持ちいいですか?」
【気持ちいい】
【ここに住みたい】
【最高過ぎるぞ膝枕】
「じゃあ、お次は、左耳を耳かきしていきます」
しろさんは、そういって位置を変えた。
今度は左耳に梵天を入れていく。
「かり、かり、かり。どうかな?くすぐったくない?私のおひざと耳かきで癒されてくれてるかなー?」
癒されている。
癒され過ぎて治癒限界で脳が爆裂してしまうのではないかと思える。
生足膝枕耳かきの時点で最高だというのに、これ以上耐えられるだろうか、と私は楽しみにしつつも不安になった。
「はい、耳かき終わりました。ふう~っ」
やがて両方の耳かきが終わって。
しろさんは左耳に、小さな耳垢を飛ばすように息を吹き込んだ。
耳かきが終わったと認識していた私たちの耳に、またしても癒しの波動が送り込まれる。
【あー】
【最高だよしろちゃん】
【膝枕耳ふーはご褒美です】
「ありがとう、じゃあお次はちょっと趣向を変えてみようかな」
そういって、名残惜しくも膝から私の頭をどけて。
またしても太腿で挟み込む。
「どお?また私の太腿で挟んでるんだけど、どうかな?気持ちいい?」
時間を空けてまた挟んだことで、先ほどの感動が蘇ってくる。
やわらかい二つの肉によって両耳をふさがれて、音がこもり、脳内に反響する感覚。
両手で耳をふさがれている時とはまた違う、充足感が心を支配していく。
「太腿で、ぺちぺち、ぺちぺち、ってしていくね。ぺちぺち、ぺちぺち」
『あふっ』
なんということだろう。
しろさんが、私をはさんだ状態で太腿をわずかに開いて閉じる、を繰り返す。
ぺちっぺちっ、という太腿がマイクにぶつかる音が響き、同時にしろさんが「ぺちぺち」とオノマトペを出す音も耳に入ってくる。
耳で、肌で、あるいは脳で。
私が、あるいは視聴者が使える感覚器を全て使って、しろさんの白くて滑らかな太腿を感じ取っていた。
「はい、太腿ぺちぺちはこれで終わりだよ。お次は、みんなが期待していることをしていこうかな」
【おっ】
【これはこれは】
【みんなが期待していること、一体なんだろうなー】
視聴者のコメントの流れが加速する。
ASMRが落ち着き、いわば小休止に入ったタイミングだからだろうか。
「まずは、お膝」
そういって、しろさんはするすると私を移動させる。
かたい膝小僧が、壊れそうなほどに柔らかい膝の裏が、私の耳や頭部を触れる。
圧迫感があるわけではないが、肉が薄い分骨に近いので、密着感がある。
「そして、ふくらはぎ」
膝を通過して、今度はふくらはぎに挟まる。
彼女の身長の割には長いふくらはぎを、ゆっくりと私の頭部は通過していく。
白い、普段は靴下などで覆われていることも多い部分がむき出しになって、マイクの耳にすりつけられている。
すりすりという音が、どこか背徳的に感じられてそれだけでどぎまぎしてしまう。
「くるぶし」
二つの硬いものが、耳を挟む。
足の中で最も骨ばったそこには、しかして金属のような無機質な冷たさはない。
こつこつと当たる音は穏やかで、理由もわからないがなぜか癒される音だった。
そして、更に動いて。
「はい、足に到着」
目的の場所へと、脚から足へと到着した。
五本の指と、足の裏で私の耳を包み込み、挟み込む。
「今ね、私の足で君の耳を包み込んでます。どうかな?癒されてくれてるかな?」
足で耳を覆われて、音が脳内で反響する。
少し動かすたびに、足裏と耳がこすれてぐわん、ぐわんと音を立てる。
いやらしい感じではなくて、むしろ穢れた心を洗い流してくれるような音が響いていた。
【足キタ――(゚∀゚)――!!】
【これを待っていた】
【長い道のりだった。いや道のりも良かったんだけど】
【ふみふみされてる!】
「うん、そうだね、ふみふみしてますよ、君のこと。ほら、ふみふみー、ふみふみー」
『うっ、あっ、ああっ』
しろさんの足が、マイクの頭部を移動していく。
まずは、左足で耳をふさいだまま、右足で頭頂部を押さえつけられる。
続いて、もう片方の足で同じことをする。
足を頭に乗せられているという屈辱的なはずのものが、穏やかで温かな声音と、しろさんにされているという事実によって背徳感へと変換されていく。
つづいて、両足を同時に動かしながらしろさんは踏み始める。
頭頂部、側頭部、後頭部、耳、そして耳の下、顎のあたりなど、様々な場所をオノマトペを続けながら生足で踏んでいく。
「ねえ、踏まれて喜んじゃってるの?君ってかわいいね、かわいい変態さんだよね?」
『ありがとうございます!』
「そっか、そんなに喜んでくれてるんだね。よかった。ふみ、ふみ、ふみ」
しろさんは、嗜虐的に笑いながら私の頭部を丹念に、壊れないように優しく踏んでいく。
力が入りすぎないように、脚を手で押さえながらやっている。
リハーサルの時に試していたので、間違いない。
優しさをこめてくれていると信じられるから、私達はしろさんに全幅の信頼を置いているわけでして。
【ありがとう、ありがとう】
【いつも癒されてるよ】
【ドSなしろちゃんもいい!】
コメント欄も大いに盛り上がっている。
背後のしろさんも、盛り上がっている。
勘とか以前に、声音で丸わかりだ。
いつもより楽しそうにしている。
「さて、じゃあふみふみもおわったところで、次のステップに行ってみようかな?」
そういって、しろさんが傍らにあった秘密兵器を取り出して。
「ここからは、タイツを履いてASMRしますね」
さらなるフェチズムを、追加してきた。
◇
ここまで読んでくださってありがとうございます。
面白かったら評価☆☆☆、フォロー、応援などよろしくお願いいたします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます