第15話 弟子入り条件

グラン「さあな…それはわかんない。それを聞いてどうしたんだ?」

ヘレン「レイブは今、リークさんに弟子入りしてますよね。」

グラン「らしいな。まさか、同じように俺にあんたを鍛えろって?」

ヘレンは静かに頭を下げてきた。

ヘレン「どうか…お願いします!!」

だが、グランは難色を示す。

グラン「う〜ん…俺は別に反対じゃないんだけど、なんか簡単に了承するのも面白くないんだよな…」

ヘレン「は、はぁ…?」

グランはセリアを見ると何か思いついて立ち上がる。

グラン「そうだ!セリアと戦って俺が鍛えても良いと判断したらにしよう!」

セリア「おや、私がやるんですか?」

グラン「ああ、頼めないか?」

ヘレン「え、えええぇぇぇ!?ひ、姫様と戦う!?無理ですよ!!そんな恐れ多い事を!」

セリア「フーム…まあ、いいでしょう。」

ヘレン「姫様!?」

セリア「私としてはそう簡単に他の女性が寄ってくるのもあまり気分が良いことではありませんから、ここで見極めましょう。あなたが彼の弟子として相応しいのかどうか…」

ヘレン「そ、そんな…」

グラン「よし!じゃあ折角だから決闘ということで正式に申請しよう!」

セリア「良いでしょう。」

ヘレン「決闘…ですか…」

グラン「お前さんもポイントを奪われるわけにはいかないだろ?俺に弟子入りしたいってんならそれぐらいは覚悟しておいてもらわないとな。別に勝てとは言ってない。俺がそれをどう思うかだ。負けたら負けたで他のやつに挑んでまた取り返せば良いんだから。」

ヘレン「わかりました。やりましょう。」


翌日、この話は一瞬で学園に広がった。

なにせ一国の姫が決闘をすることになるのだ。

レイブ「ヘレン…君は何を考えているんだ?」

リーク「大方、グランの差し金だろう。あの女、グランに鍛えてもらうって魂胆なんだろうが、アイツが条件を出したんだろう。」

レイブ「けど、セリア姫と戦うなんて…国の問題にならないんでしょうか?」

リーク「問題無いだろう、あの姫が負けた時に権力に物を言わすなんて姑息な手は使わんだろうし、何より…」

レイブ「何より?」

リーク「彼女は強い。状況によっては俺やグランよりもだ。」

レイブ「え…?お二人よりもですか?」

レイブは信じられない物を見たような反応になる。

実際に手合わせをした彼だからこそ信じられなかった。

セリアが自分の師とそのライバルよりも強いというのが。

リーク「まあ、実際の実力は当日にその目で見るんだな。」


その頃、職員室では。

ルティファ「決闘の申請か…ワーグナー家の氷属性の令嬢と、セリア殿下か…」

アリサ「ヘレンさんの事は耳にしたことがありますね…確かワーグナー家でも抜き出た実力派だと。対して姫の事はあまり聞いた事がありませんね…」

ルティファ「王室が情報漏洩を防いでいたんだ。彼女はグランと触れ合う中で実力を伸ばしてきた。けれど、彼との関係が外部に漏れないようにしていたんだ。その結果、彼女の具体的な実力を知るものが限られてしまったんだ。この前の実習でも周りに合わせて力を抑えていたようだしな。」

アリサ「あなたは知っているようですね。」

ルティファ「ああ、強いよ彼女は。なんならセンスはグランより上かもしれん。」

アリサ「それは流石に大袈裟では?」

ルティファ「いや、条件付きだが、彼女はグランに勝った事がある。」

アリサ「条件付き?」

ルティファ「ああ、それは…………」

アリサ「驚きました…彼女が一番苦手そうな条件ですが…」

ルティファ「私もだ…まさか、あれ程高いセンスの持ち主だとは思っていなかった。」

アリサ「これは…決闘当日が楽しみですね。」


決闘当日

闘技場には大勢の生徒が集まっていた。

普段は時々、他の所でも決闘をしていて点数の奪い合いがなされているのだが、今日は殆どの生徒がここに集まっている。


ヘレン「すぅ〜ふぅ〜」

ヘレンは入場前の廊下で深呼吸をして緊張をほぐしていた。

ヘレン「私も…彼の下について、強くなる。」


一方、セリアも反対側の方で精神統一をしていた。

セリア「………」

目を閉じて深く集中する。

そして目を開けてリングに入っていく。

セリア「さて…久しぶりにやるとしましょうか。」ボキボキ

指を鳴らしながら入って来る。

その目はとても猟奇的だ。

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