2022年11月23日
腐葉土と呼べばいいのでしょうか?とにかく私はその、土と葉の混ざりあったようなものを眺めておりました。寒いとも温かいとも言い切れないような天候が続いていて、私は湿り気を探しておりました。手を洗うだけでは物足りない、しかし私に浴槽に浸かれと言うのでしょうか?私は林の暗がりへと足を運ぶしかなかったのです。そうしてしばらく時間を過ごしておりますと、ふと、視界の右奥の方で何かがうごめいていることに気づきました。それはミミズの群れでした。十匹程度でしょうか、地面から覗かせた頭を揺らしてこちらを見つめているのです。私は無性に腹が立ちました。いったい私に何が言いたいのでしょうか?彼らは体をくねくねとさせるだけで、発する音といえば、葉と葉がこすれて出すカサカサというような微弱なものだけなのです。私はどうしても何かしなければならないと感じていましたが、いったん状況を冷静に考え直してみることにしました。ミミズというのは虫なのでしょう?それならば、威嚇したり睨んだりというような方法が通じることはないはずです。ですから、私は意識を集中して、「帰ってくれ」と頭の中で唱えました。するとまもなく、先程までのカサカサという音が静かになって、ミミズの動きも落ち着き始めたように見えました。私は、なんてしょうもないのだ、と思いました。なら、最初から土に頭を引っ込めていればいい!しかし、きっとそういう私の考えが体の動きに現れたせいでしょう、ミミズはにわかに、先程よりもよほど激しく体をくねらせ始めました。私の足元にもミミズは及んでいました。私は頭だけを覗かせたミミズに囲まれていることがわかりました。そして、みるみるうちに地面がぐらつき始め、私は底なし沼に落ちるかのように腐葉土の海の中に沈んでいきました。ミミズは私の体の上にもやってきて、そのうちのいくつかは私の皮膚からも頭を覗かせ始めました(ただし、私はミミズの両端のうちどちらが頭でどちらが尻なのか判別する方法を知らないので、ミミズが皮膚の中に入っていったという可能性もあります)。私はどうすればいいのかまったく見当が付きませんでしたが、舌に土が乗って土の味がした瞬間、考えるまもなく叫び声が上がりました。ミミズは消えました。なんてことはありません、最初から叫んでおけばよかったのです。私は腐葉土の中から自分を引き上げました。体中が土だらけになったので、家に帰ってシャワーを浴びました。ですが、まだ体から土の匂いがする気がします。私は湯船を使うべきなのでしょうか?
医師との対話 水面 @WaterSurface
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